朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第90回 新美南吉「おぢいさんのランプ」

「おじいさんのランプ(新美南吉童話傑作選)」著・新美南吉、編集・新美南吉の会(小峰書店)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「おじいさんのランプ(新美南吉童話傑作選)」著・新美南吉、編集・新美南吉の会(小峰書店)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第89回は新美南吉の「おぢいさんのランプ」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 詩作が一番似合いそうな季節というと、皆さんはどの時期を思い浮かべますか?  私は今……秋のシーズンが一番合っているような気がします。例えば、俳句の中ではあまりにも有名な正岡子規さんの名句「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」も、秋を季語にしていますよね。

 そこで今回は、この時期にお誕生日を迎えた俳人・哲学者・詩人の皆さんの中から5人を、名言も交えてご紹介したいと思います。

・正岡子規(俳人・1867年10月14日生まれ)

 「文章は簡単ならざるべからず、最も簡単なる文章が最も面白き者なり」

・ウェルギリウス(詩人・紀元前70年10月15日生まれ・ローマ)

 「愛はすべてを征服する。われわれもまた愛に身を任せよう」

・フリードリヒ・ニーチェ(哲学者・1844年10月15日生まれ・ドイツ)

 「人は孤独を味わうことで、自分に厳しく、他人に優しくなれる」

・オスカー・ワイルド(詩人・作家・1854年10月16日生まれ・英国)

 「経験とは、自ら犯した失敗に付けた名前にすぎない」

・アルチュール・ランボー(詩人・1854年10月20日生まれ・フランス)

 「人生は、誰もが演じなければならない道化芝居だ」

 秋も折り返し地点。 ますます深まっていく秋を感じながら、自分の琴線に触れる名言を探すのも良いのではないでしょうか(*^^*)

 ではここで朗読倶楽部のコーナー、甲原みかえさんのお話・その6です。

 英語が得意なはずのみかえさんが苦手という最大の原因は「発音」でした。

 日本語にも方言があるように、英語にも地方によってなまりがあるのは皆さんもご存じでしょう。これが原因で留学を切り上げたみかえさんは、ネイティブの英会話を封印し、わざと分かりやすいジャパニーズイングリッシュを使うようになったというのです。

 ただし道案内をしていたときのように、ネーティブな人へ受け答えをすると通じなくなることも多く、その場合はやむなくネーティブで話すのだそうです。

 「それでも……」。帰国直後に比べ、自分の中で変化が起きているというみかえさん。最初は生理的に受け付けなくなってしまうほどだったというネーティブの英会話でしたが、今では少しずつですが話せるようになってきたと。

 それは単に時間が解決したのではなく、朗読倶楽部のおかげだと、みかえさんは言いました。それを聞いて、思わず首をかしげてしまう部長さんと私。

 特に英語を使うわけでもない朗読倶楽部と英会話の関係が、いま一つ分からなかったのです。

 果たして、朗読倶楽部がみかえさんの心の傷にどう作用したのでしょうか……そのお話はまた次回に。それでは次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 新美南吉「おぢいさんのランプ」

 こんにちは、今回ご紹介する作品は「ごん狐」「手袋を買いに」など、子狐にまつわる童話で広く知られている作家・新美南吉さんの「おぢいさんのランプ」です。

 新美南吉さんが亡くなられる前年の1942年は、初の著作童話集が刊行された年なのですが、この本に収録された七つの作品の中の一つがこのお話になります。

 童話集に同名のタイトルを冠したことからも、新美南吉さんのこのお話への思い入れの深さをうかがい知ることができますよね。

 友達とかくれんぼをしていた東一(とういち)さんは、隠れていた蔵の中で珍しい形のランプを見つけました。

 初めはそれがランプと分からずにみんなで見回していたところ、東一さんのおじいさんがやってきて勝手に持ち出したことを叱られてしまいます。

 一度は素直に言うことを聞いた東一さんでしたが、その日の晩、居間に置かれていたランプを退屈しのぎにいじりまわしてしまい、またおじいさんに見つかってしまいました。

 しかしおじいさんは今度は叱るようなことはなく、東一さんにある昔話を始めたのです……。

 それは今(1940年ごろ)から50年ほど昔のお話。

 ある小さな村に巳之助(みのすけ)さんという、身寄りのない少年がいました。親も家もない彼は納屋を間借りし、村の人たちのお手伝いをしてやっとの思いで生活していました。

 ある日、仕事で大きな町へ行くことになり、初めて村の外に出た巳之助さん。すべてが新鮮な体験の中で特に目を引いたのは、商店街の軒先にぶら下がった、花のように明るい数々のランプでした。

 彼の住む村は夜になると真っ暗になってしまうのに、この町では煌々(こうこう)と明かりがともっている……。

 この明かりに心奪われた巳之助さんは、仕事で得たばかりのお金を握りしめ、ランプを売るお店に入って行ったのですが……。

 「ランプ、ランプ、なつかしいランプ」

 終盤で登場するこの言葉がとても印象に残る一作、ぜひ一度、読んでみてください。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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