軍師官兵衛:視聴率“V字回復”の理由 岡田の迫真の演技に支持の声

NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」に出演する(左から)家康役の寺尾聰さん、信長役の江口洋介さん、秀吉役の竹中直人さん
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NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」に出演する(左から)家康役の寺尾聰さん、信長役の江口洋介さん、秀吉役の竹中直人さん

 人気グループ「V6」の岡田准一さんが主演するNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の視聴率が“V字回復”している。初回(1月5日放送)は平均視聴率18.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録したものの、5月には一時12%台まで数字を落とした。しかし、6月15日放送の第24回で17.5%(同)を記録するなど、放送開始時の水準に戻り、その後も順調に推移している。視聴率が回復したのは、岡田さん演じる黒田官兵衛が幽閉から救出され、真っすぐな若者から影のある策略家へと成長を遂げた時期と重なる。“V字回復”の理由を探る中で、岡田さんの迫真の演技が、視聴者の支持を集めていることが分かった。

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 ◇前半のピークの幽閉で視聴率回復 官兵衛への興味高まる

 「軍師官兵衛」は、戦国時代末期に“天才軍師”と称され、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑に重用され、九州・福岡藩52万石の礎を築いた黒田官兵衛の生涯を描いている。視聴率が回復傾向になったのが、荒木村重(田中哲司さん)に捕らわれ、土牢に閉じ込められらた官兵衛(岡田さん)が救出された第22回(6月1日)で、16.6%(同)を記録。官兵衛が秀吉(竹中直人さん)の軍師として、人が変わったように冷徹な活躍を見せる第24回は(同15日放送)では17.5%(同)とさらに上がった。

 番組の制作統括を務める中村高志チーフプロデューサー(CP)は、官兵衛の幽閉を前半のピークとして考えていたといい、“V字回復”の理由を「大きな支持をいただいたのは、幽閉によって、官兵衛がどのように軍師として立ち直っていくのか、岡田さんの演じる黒田官兵衛という人物そのものへの興味が高まった結果ではないかと思っています」と分析する。

 ◇官兵衛はジキルとハイド 岡田が変化を演じきる

 幽閉前の官兵衛は元気に動き回り、真っすぐに難問に立ち向かう軍師として描かれていたが、生還後は、約1年にわたる幽閉によって足や顔に傷を負い、姿が変わっただけでなく、影のある策略家として成長した姿が描かれている。中村CPは、幽閉前後の官兵衛の変化を「ジキルとハイドではないですが、風貌も明らかに別人のように変わります」と表現し、「ぎらついた暗い人物」と例え、「このような主人公は大河ドラマでも珍しいことだと思うので、俳優・岡田准一さんにとって、とても演じがいのある役どころではないかと思います」と話す。

 変化する官兵衛を演じる岡田さんに魅了されている視聴者が多いようだが、中村CPによると、岡田さんは幽閉後の官兵衛を演じるにあたり、強いイメージを持っていたため、制作サイドが演技に関する要望をほとんど伝えなかったという。

 ◇竹中直人の秀吉の評価に変化 「さすが!」の声も

 「軍師官兵衛」では、大ブームとなった1996年の大河ドラマ「秀吉」で主演を務めた竹中直人さんが18年ぶりに豊臣秀吉を演じていることも話題になっている。「視聴者の反応では、当初必ずしも肯定的ではない意見もありましたが、今はまったくそういう声はなく、『さすが』『ぴったりだ』というご意見をたくさんいただいています」とと中村CPが話すように支持を集めているようだ。

 ◇本能寺の変で才能開花 今後はさらなる変化も

 13日放送の第28回では、秀吉や官兵衛のターニングポイントとなる本能寺の変が描かれる。中村CPは「本能寺の変を知った官兵衛が、軍師としての才能を全開にして、わずかな期間で秀吉を天下取りへ押し上げていく、この数日間は官兵衛の軍師としての才能がまさに花開く瞬間であり、官兵衛がもっとも大きく歴史を動かした瞬間」と話し、官兵衛の特色がダイナミックに描かれる。また、後半は老成していく人物としての官兵衛も描かれるといい、中村CPは「一人の人物が3段階に変化していくというのが、黒田官兵衛の面白さだと思います」と話す。変化する官兵衛を演じる岡田さんから今後も目が離せない。

 「軍師官兵衛」は、NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送中。第28回「本能寺の変」の放送を前に、13日午後7時半からNHK総合で、ドラマの見どころなどを紹介する「まだ間に合う!『軍師官兵衛』本能寺直前SP」が放送される。

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