「少林サッカー」(2001年)、「カンフーハッスル」(04年)、「ミラクル7号」(08年)などの作品で知られる香港の人気俳優チャウ・シンチーさんの6年ぶりの監督作「西遊記~はじまりのはじまり~」が21日から全国で公開される。中国で古くから伝わる「西遊記」を題材に、三蔵法師、沙悟浄、猪八戒、そして孫悟空の4人が出会うまでをオリジナルストーリーで描いている。今回、シンチーさんは出演はしていないが、来日時、今作が「ドラゴンボール」の影響を受けていると話し、またエンディングで日本のドラマ「Gメン’75」のテーマ曲を使うなど、日本人にはうれしい仕掛けもある。
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妖怪ハンターの玄奘(ウェン・ジャンさん)は、川に現れた半魚半獣の妖怪退治に失敗。師匠から「修行に励め」と諭される。別の妖怪を取り逃がした玄奘は、師匠から、その妖怪を倒せる人物を教えられ、彼に会うために五指山に向かう……というストーリー。
冒頭、村人に襲い掛かる妖怪と戦う玄奘……これがどう「孫悟空」の物語につながっていくのだろうかと首をひねっている間にも、次から次へと予想外のエピソードが飛び出す。孫悟空が性格の悪い“おっさん”として描かれ、猪八戒は、コラーゲンでお肌つるつるの美男子、沙悟浄は魚と獣を合体させた水の妖怪というユニークな姿で現れ、彼らもまた、予期せぬ動きを見せる。そもそも、仏教の悟りを開いた三蔵法師が修行中の妖怪ハンターで、その彼が主人公という設定が新鮮。そんな彼らが、どのように関係を築いていくかが見どころだ。
ほかにも、妖怪の顔を殴りつけるとその顔がゴムのように変形するなど、不気味ながらも笑えるネタがたっぷり入り、“シンチー節”は健在。一方で、今作オリジナルキャラのスー・チーさん演じる妖怪ハンターの段と玄奘のロマンスを盛り込み、ホロリとさせる場面も。もちろん、妖怪と妖怪ハンターのバトルシーンは、コンピューターグラフィックス(CG)を駆使した“ありえない”映像の連続で大いに楽しめた。日本語吹き替え版では玄奘を斎藤工さんが、段を貫地谷しほりさんが声を担当している。シンチー監督によると、続編の構想もあるようだ。21日からTOHOシネマズ有楽座(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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