チェコで「トイ・ストーリー3」を上回る大ヒットを飛ばした「KOOKY クーキー」(ヤン・スベラーク監督・脚本・製作)が22日から公開される。捨てられたクマのぬいぐるみが森の中で大冒険をする物語が、チェコ伝統のマリオネットと実写を融合させながら、アクションも多彩に繰り広げられていく。
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クーキーは、オンドラ少年(オンジェイ・スベラークさん)のお気に入りのテディベア。寝るときも一緒。しかし、古くなったクーキーはほこりっぽく、おなかから詰めものが出ている状態。ぜんそく持ちのオンドラを心配した母親は、クーキーをゴミ箱へ捨てた。目覚めたオンドラは、クーキーがいないことを知り、無事を祈る。町から離れたゴミ捨て場に着いたクーキーは、ショベルカーで潰される寸前に命が宿って、走って森に逃げ込んだ。森の中で気を失って倒れたクーキーは、森の村長ヘルゴットに助けられる。クーキーはオンドラの元に戻れるのか?……という展開。
テディベアといっても、クーキーはペラペラのクマのぬいぐるみ。主人公なのに、ヨレヨレだ。そんなクーキーが、ゴミの山を猛ダッシュで駆け下りたり、追っ手をかわしてカーチェイスをしたりと、想像以上のアクティブな動きで魅了する。マリオネットなので“操られている感”ある動きもたまらない。舞台となった森は、植物の吐く酸素と湿気も感じられそうな神秘的な場所。実際に森で100日もかけて撮られたという。森の精霊たちは、グロテスクな雰囲気も漂う個性的な姿をした者たちばかり。廃材を巧みに使った小道具も凝っている。チェコを代表するゲームクリエーター集団「アマニタ・デザイン」が手掛けたキャラクターたちとミニチュアが、こけむした森にマッチしている。素朴な手作り感あふれるビジュアルに反して、物語はなかなかシビアだ。森には村長の座を狙う乱暴者がいて、クーキーも抗争に巻き込まれてしまう。やがて、村長は窮地に追いやられる。森のおとぎ話が現実とつながっていき、ラストには想像もしなかった仕掛けが用意されている。米アカデミー賞外国語映画賞受賞作の「コーリャ 愛のプラハ」(1996年)のスベラーク監督作。スベラーク監督の息子、オンジェイ・スベラークさんがオンドラ少年役と同時にクーキーの声も務めている。また、「森の村長ヘルゴット」の声は、スベラーク監督の父、ズデニェク・スベラークさんが担当した。22日から新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。「テッド2」のように「クーキー2」もあればいいなと思っています。
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