京極夏彦:水木しげるさんは「亡くなっていない」「永遠に我々を支配する」

水木しげるさんのお別れの会で発起人と司会を務めた京極夏彦さん
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水木しげるさんのお別れの会で発起人と司会を務めた京極夏彦さん

 昨年11月30日に多臓器不全のため93歳で亡くなったマンガ家の水木しげる(本名・武良茂=むら・しげる)さんのお別れの会が31日、青山葬儀所(東京都港区)で営まれ、発起人の一人である作家の京極夏彦さんが会見。「(水木さんは)亡くなってないですね。人間としてはご逝去されましたが、生前からそうでない部分が多い方だった。そういう意味では、作品もあるし、変わりはないのではないか。本人に会えないのは寂しいですが、水木しげるは永遠に我々を支配し続けるんじゃないか」と語った。

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 この日のお別れの会は、「水木しげるサン お別れの会」と題され、作家の荒俣宏さんが発起人代表を務め、京極さんは司会も担当。水木さんの遺影と鬼太郎や悪魔くんなどのキャラクターのパネルが白い花の輪で囲まれた祭壇は、京極さんが水木さんの短編マンガ「丸い輪の世界」をイメージしてデザインした。

 京極さんは祭壇のコンセプトについて「手前の花が、鳥取の境港市の海原を表している。両サイドは先生が愛してやまなかった南方のジャングルをイメージ。真ん中の輪は、輪が開いているときは(あちら側と)行き来ができる。先生はそちら側にとりあえずいるので、輪が開いているときは先生に会える。鬼太郎とか悪魔くんとか、キャラクターたちと一緒に笑いながら見ている。そこに皆さんで話しかけて、お別れを言おうと思った」と説明した。

 荒俣さん、喪主を務めた水木さんの妻・武良布枝さんもともに会見し、水木さんについて荒俣さんは「日本の宝のひとつだったんじゃないか。それも楽しい宝。水木さんの次を探したいと思ってもいないと思うので、永遠じゃないですかね。必ず後で水木さんのことを思い出すことが何度もくると思う」と語り、「何だかわからないけど、話しているうちに幸せになれる。いろんな人を幸せにする人。“幸せ菌”をばらまいている人だった。今日の写真をみてもわかるように。元気にやらせてもらっているパワーをいただき続けた。今改めてわかった」と話していた。

 この日のお別れの会には、アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」で主人公・鬼太郎役を務めた声優の野沢雅子さん、NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「ゲゲゲの女房」に出演した女優の松下奈緒さん、俳優の向井理さんをはじめ、実写映画「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」に主演したウエンツ瑛士さんら生前に親交のあった関係者が続々と詰めか、水木さんに最後の別れを告げた。

 水木さんは1922(大正11)年3月8日生まれで、鳥取県境港市で育つ。太平洋戦争で激戦地であるラバウルに出征、爆撃を受け左腕を失う。戦後は紙芝居の画家、貸本マンガ家を経て、「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童の三平」などの人気マンガを生み出した。2010年には水木さんの妻・武良布枝さんの自伝小説「ゲゲゲの女房」がNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)になり、人気を博した。

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