テレビ質問状:「ノンフィクションW シェルカウイ 踊りで世界を救う、41日の闘い」 稽古初日から密着

「ノンフィクションW シェルカウイ 踊りで世界を救う、41日の闘い」のワンシーン
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「ノンフィクションW シェルカウイ 踊りで世界を救う、41日の闘い」のワンシーン

 WOWOWは毎週土曜に「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠として、「ノンフィクションW」と「国際共同制作プロジェクト」の2番組を両輪に、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組を放送している。4月30日午後1時からWOWOWプライムで放送される「ノンフィクションW シェルカウイ 踊りで世界を救う、41日の闘い」の番組プロデューサーを務めるWOWOW制作局制作部プロデューサーの大原康明さんに、番組の魅力を聞いた。

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 --番組の概要と魅力は?

 革新的な表現で、世界の演劇・ダンスシーンに衝撃を与え続けている振付家、シディ・ラルビ・シェルカウイさん。今、演劇界が最も欲しがる才能の持ち主といっても過言ではない彼の舞台制作現場に稽古(けいこ)初日から密着しました。彼の原点には一体何があるのか、そして、今回故郷ベルギーに戻り、自ら踊るという決意の裏にはどんな思いが込められているのか、臨場感たっぷりに描きます。撮影チームもツワモノばかり。ナレーションは、シェルカウイさんとタッグを組んだ経験のある俳優・森山未來さん。盤石の布陣で挑みました。

 --今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 昨年の夏、制作会社の皆さんから企画について話をうかがいました。しかし、恥ずかしながら、私はシェルカウイさんのことをあまり深くは知りませんでした。一方で、「テ ヅカTeZukA」や「プルートゥ PLUTO」といった作品は日本でも話題を呼んでいましたので、すぐに引きつけられました。舞台の映像を見て、単に“コンテンポラリーダンス”という言葉では語り尽くすことのできない、その表現に魅了され、やがて、シェルカウイさんのルーツや「踊りに救われた」かつての話を深く知るにつれ、「この人のことを伝えなくては」という衝動が湧き起こってきました。

 --制作中、一番に心がけたことは?

 “アーティストを描く”ということを特に丁寧に心がけました。シェルカウイさんは振付家であり、ダンサーですから、その体に思いやメッセージをすべて込めて表現していきます。ナレーションで彼の心情や踊りに内包されたものを語ってしまうのは簡単です。しかし、それはナンセンスですし、彼のアーティストとしての矜持(きょうじ)を否定することにもつながりかねない。ナレーションは極力省き、シェルカウイさんやダンサーたちの体から湧き出るものを番組をご覧いただいた方に感じ取っていただけるようにしました。また、映像の撮り方もテレビドキュメンタリー的なスタイルではなくドキュメンタリー映画を意識した撮影を行いました。カメラマンの方から聞いた話ですが、撮影中、彼から「このシーンは撮らないでほしい」と言われたことは一度もなかったそうです。カメラの前で自然体のまま、すべてをさらけ出す“覚悟”に、我々もしびれました。

 --番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?

 当初、制作チームが期待していた展開を大きく裏切り、全く予想外の展開の出来事が立て続けに起こりました。文化の違いが引き起こしたフランス人のダンサーと日本人のミュージシャンとのぶつかり合いはもちろん、昨今のベルギーや欧州を取り巻く情勢など、撮影を終えても、世界は刻一刻と変化していきました。そうして生まれた“ズレ”や“違い”をいかにして番組内に取り込んでいくか、チーム一丸となって何度も議論を重ねました。番組内で描かれていく出来事は、ドラマチックですが、一方でとても普遍的なテーマです。日本の方だけにとどまらず、世界中の人々に何かを感じ取っていただけるのではないでしょうか。

 --番組の見どころを教えてください。

 舞台上でのぶつかり合い、表現、シェルカウイさんが語る言葉、彼の歩んで来た道……異なるシーンにもすべて、一貫した一つのテーマが込められています。それは、現代の世界情勢に通ずるものですし、この時期だからこそ感じ取っていただけることが多いと思います。「報道機能」を持たない放送局であるWOWOWがどのように“いま”を描き、そして、メッセージを投げかけていけばいいのか、その答えが見えたように感じています。アート、芸術、音楽……エンターテインメントの力とは一体何か。かみしめていただきたいです。

 --視聴者へ一言お願いします。

 番組を見たあと、誰しもが「新しい自分」に気付くことができるのではないでしょうか。10月にはシェルカウイさんの来日公演「SUTRA」も控えています。日本・ベルギー友好150周年という特別な年に、このドキュメンタリーを通じて、刺激的で、繊細で、だけど、どこか優しい“シェルカウイワールド”を体感してください。

 WOWOW 制作局制作部 プロデューサー 大原康明

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