ソニーのヘッドマウントディスプレー「PSVR」の発売や、スマートフォン用ゲーム「ポケモンGO」の社会的ヒットがあった2016年のゲーム業界。ゲーム雑誌「ファミ通」を発行するカドカワの浜村弘一取締役に2016年を振り返るとともに、2017年の展望を語ってもらった。第3回はビッグタイトルの「ファイナルファンタジー(FF)」と「ドラゴンクエスト」について聞いた。
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これまでのFFと違うということでしょうか。HDに対応し、自由度が高い見事なオープンワールドを実現して、ゲームとして非常に楽しい。「これまでのFFと違う」という評価もあるようですが、(1000万本を売った)FF7も登場したときは「違う」と言われていました。「違う」ということは、新しいことをやっているということで、後の評価が高かったりします。
「ドラゴンクエスト」シリーズが、ゲームクリエーターの堀井雄二さんの持つ「堀井節」を楽しむものに対して、FFシリーズは、そのときの最先端を詰め込むゲームだからです。特にオープンワールドは、世界に挑戦するなら乗り越えないといけない壁です。特に今作では、人工知能(AI)を搭載したキャラクターが寒いところに行けば震え、歩いていると話しかけてくるなど、まるで生きているようなんです。このAIを実現したことで、これまで大きな労力を払っていたキャラクターの演出が楽になり、ゲームデザインに集中できるのも大きいですね。
--2017年には「ドラゴンクエスト11」が発売される予定です。しかもPS4と3DSに対応します。
PS4版と3DS版は、ストーリーやゲーム性が同じといえども、違うゲームを作っているようなものですからね。現場のクリエーターは笑えないかもしれませんが。最初はPS4版の方をやってみようと思いましたが、堀井さんから話を聞いていると2Dの方も面白そうだから3DS版もやってみたい気になります。両方やるパターンになるのでしょうね。
--任天堂の新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」が1月に発表会で披露されます。
任天堂はいつもユニークなゲーム機を出すのですが、そのユニークな部分がギリギリまで発表されてない可能性がありますから、そこが楽しみです。どういうソフトハウスが来るのか、スマホゲームからも参加するかも注目です。任天堂は、スマホでコンテンツを出すことで、自分のところにユーザーを連れてくるといっていますし、セーブデータの共有もうたっています。
--家庭用ゲーム機のソフトのラインアップが減るなど、スマホゲームの存在感があります。
家庭用ゲーム機が落ちているというよりは、スマホと家庭用ゲーム機がシームレスになるのでしょう。家庭用、スマホ用というのでなく、コンテンツの強さに加え、コンテンツが作り出したユーザーコミュニティーをどう保持できるかがカギを握ってきます。ファンのコミュニティーを大事にする時代になったといえます。
--人気クリエーターの小島秀夫さんが独立し、新作ゲーム「デスストランディング」を発表しました。
すごいゲームを発表してきました。あそこまでハリウッドの俳優を使えるゲームクリエーターはいないでしょう。(コナミを)出たことで、あらゆるジャンルの人と付き合いいろいろに人が会えるようになり、自由になりましたよね。小島さんは「すべてを失ったと思っていましたが、実は何も失っていなかった」と言っていましたが、感動しました。
--日本のクリエーターが注目を浴びそうですね。
PSVRが出てから、ゲーム「Rez」を手掛けた水口哲也さんが再び注目されているように、新しいフェースには新しいスターが出てきます。海外のゲームは、工業生産化してシリーズが立て続けに出る体制になりました。日本のゲーム業界は人材が豊富で、ゼロから作れるクリエーターが多く、再びクリエーターが注目される時代が来ると思います。
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