任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」のヒットや「eスポーツ」の業界団体統合などさまざまなことがあった2017年のゲーム業界。ゲーム雑誌「ファミ通」を発行する「Gz(ジーズ)ブレイン」の浜村弘一社長に一年を振り返ってもらいながら、今年の展望を聞いた。
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――17年を振り返っての印象は。
家庭用ゲーム機の市場が元気になったことですね。「ニンテンドースイッチ」がここまで売れるとは任天堂も思っていなかったでしょう。PS4のように(前世代機PS3と比べ)グラフィックが良くなるとはっきり分かるのですが、任天堂のゲーム機は不連続に進化するので大変です。WiiからWiiUは連続的でしたが、WiiUとニンテンドースイッチは全く違います。今回は外に持ち運べるようになり、テレビで見てもモニターで見てもよいし、新しかった。しかし当たるかどうかは、出荷状況を見る限りでは、任天堂も正直分からなかったと思います。PS4も売れました。「ファイナルファンタジー(FF)15」や「ドラゴンクエスト11」が発売されて、良いソフトがそろった印象を持ちますね。
――しかし「FF」や「ドラゴンクエスト」は過去シリーズほど売れなくなりました。
FF15は、ワールドワイドで売りたかったのでしょう。確かに日本市場では以前のように200万本には届いていませんが、世界では700万本を売れたと聞いていますから大成功と思っているでしょう。「ドラゴンクエスト11」もPS4と3DSでマルチに出して、合計すれば売れましたし、収益も取れています。単純なソフトの数だけでなく、IP(知的財産、コンテンツ)として成功したかを見ていると思います。
――日本市場だけではつらい?
実は海外を見ると、「ニーア オートマタ」や「仁王」「ペルソナ」など、これまで日本で好まれるであろうタイトルが成功しているんです。海外の人気タイトルといえばFPS(一人称視点のガンシューティング)一辺倒でしたが、日本のクールジャパン的な作品も売れるようになってきました。パイ自体も広がったので、王道のFPSはそのまま売れるとして、それ以外のものも売れる環境になったのでしょう。
――今年注目の「モンスターハンター:ワールド」は。
1000万本売れると思ってます。そういうと「えー」という人がいるでしょうが、バージョンアップもしますし、スチーム(PC版)であれば値段を下げたりできます。長期的スパンでは1000万本も見えてきます。昔のようにパッケージで2、3月どれだけ売れたかという考え方ではなく、長いスパンでものを考えるということです。IPの寿命が以前とは変わって長くなりました。バーゲン(値下げ)で売っても、リクープ(開発費の回収)していたらほぼ全部利益になりますからね。
――ゲームの出来は?
日本で普及するのは間違いありません。(オープン)ベータテスト(参加者募集型の調整試験)も期待以上ににぎわいましたし、予約も想定以上と聞いています。当然、PS4本体も動くと思います。携帯ゲーム機ではない「モンスターハンター」を待っていたユーザーはいるわけです。今回は4Kで見てほしいという話もありますからね。私も体験しましたが、ヌメヌメした感じの爬虫(はちゅう)類系モンスターなどは本当によくできています。
今度はシームレスなので遊び方が変わります。例えば違う2体のモンスターと遭遇すると、その2体と戦うのではなく、敵同士をぶつけて弱らせた方を倒す……という新しい遊び方もできるわけです。
今回は海外でシェアが少ない携帯ゲーム機ではなく、普及しているPS4で勝負するわけで、リブランディングをしていると思っています。だから(ゲームに数字を付ける)ナンバーリングではなく「ワールド」という名前を付けて売ろうとしていると思います。
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