注目映画紹介:「犬猿」窪田正孝、新井浩文、ニッチェ江上、筧美和子…正反対の性格の兄弟・姉妹の愛憎劇

映画「犬猿」の一場面 (C)2018『犬猿』製作委員会
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映画「犬猿」の一場面 (C)2018『犬猿』製作委員会

 映画「ヒメアノ~ル」(2016年)の吉田恵輔監督が正反対の性格の兄弟・姉妹をテーマに描いたオリジナル作「犬猿」が、10日からテアトル新宿(東京都新宿区)ほかで公開される。窪田正孝さん、新井浩文さん、お笑いコンビ「ニッチェ」の江上敬子さん、筧美和子さんらが出演。相性の悪いきょうだいの複雑な感情と関係を、激しいけんかも交えて笑いと涙の愛憎劇として描き出している。

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 コツコツと真面目に印刷会社で働く金山和成(窪田さん)は、刑務所帰りの兄・卓司(新井さん)の横暴に頭を抱えていた。印刷所を営む幾野由利亜(江上さん)は、父親の介護をこなし、仕事もできる頭のいい女性で、芸能活動をしながら仕事の手伝いをする妹真子(筧さん)にイライラしていた。由利亜は仕事で取引のある和成に好意を持っていたが、いつの間にか和成と真子が付き合っていたことを知り、嫉妬の炎を燃やす……というストーリー。「デメキン」(17年)に主演するなど次世代ブレーク俳優として注目されている健太郎さん、「リベンジgirl」(17年)の竹内愛紗さんが、パロディーのような劇中劇に出演している。

 絶妙なキャスティングが楽しい。兄弟・姉妹が顔を合わせるシーンでは、お互いの思いが絡まって生まれる緊張感が微妙な表情や空気感に表れて笑わせてくれる。江上さんと筧さんのしっかり者の姉とおバカな妹は、女性同士だからこそのコンプレックスをお互いが抱え、恋愛が絡み、敵対心がさらにエスカレートするところが見ものだ。

 気が弱く真面目な弟を演じている窪田さんは、兄へのいら立ちを少しずつ増幅させていくところを絶妙に演じ、新井さんは、スクリーン狭しと大暴れする狂気と純粋さの確かな芝居で魅了する。似つかない兄弟・姉妹の根っこの部分、子供の頃からのつながりもしっかりと描かれている。嫉妬と愛情が渦巻く4人の関係の変化から目が離せない。

 吉田監督が、若いころの藤山直美さんをイメージしながら江上さんありきで脚本を書いたというだけあり、江上さんが見事なコメディエンヌぶりを発揮している。主題歌は、結成20周年のロックバンド「ACIDMAN」の「空白の鳥」。(キョーコ/フリーライター)

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