吉田羊:女優としての在り方や理想の芝居など赤裸々に 「コールドケース」百合役は天職 

WOWOWの「連続ドラマW コールドケース2 ~真実の扉~」のワンシーン(C)WOWOW/Warner Bros.Intl TV Production
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WOWOWの「連続ドラマW コールドケース2 ~真実の扉~」のワンシーン(C)WOWOW/Warner Bros.Intl TV Production

 13日から放送される、WOWOWの刑事ドラマ「連続ドラマW コールドケース2 ~真実の扉~」で主演を務める女優の吉田羊さん。2016年に放送された未解決殺人事件(通称コールドケース)の真相を解明する捜査チームの活躍を描くドラマの続編で、吉田さんはシーズン1に続きチームを引っ張る刑事・石川百合を演じる。同作を「女優として正しいところに戻してくれる作品」と語る吉田さんは、女優の仕事や演じることについて、どのような思いを抱いているのか。内に秘めた思いなどを聞いた。

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 ◇女優として「正しいところへ戻してくれる」

 「連続ドラマW コールドケース ~真実の扉~」は、未解決殺人事件(通称コールドケース)の真相を解明する捜査チームの活躍を描き、03~10年に全7シーズンにわたって米CBSで放送されて世界的に大ヒットしたドラマ「コールドケース」を日本版オリジナル設定でドラマ化。神奈川県警捜査1課の活躍を描き、16年にシーズン1を放送した。シーズン2も百合を吉田さん、年下の相棒・高木信次郎を永山絢斗さんが演じ、立川大輔を滝藤賢一さん、金子徹を光石研さん、本木秀俊を三浦友和さんと引き続き出演。ゲストとして橋爪功さんや宮藤官九郎さん、佐藤浩市さん、飯豊まりえさんらが出演する。

 同シリーズを「女優として正しいところに戻してくれる作品」と言い切る吉田さん。その真意を聞くと、前作となるシーズン1への出演以降、「違う作品の現場に入ったときに、無理をしている自分に気づくようになりました」といい、「例えば『今、芝居しているな』とか。(コールドケースは)そういう自分に気づく、バロメーターになりますね」と明かす。
 
 無理をしていることは、自身にとって「よくない」ことだと吉田さんは語る。「テレビドラマってある意味、『分かりやすいお芝居』が喜ばれるんです。なぜなら、1時間という時間の中に話を収めなければならないということと、家事をしている方が手を止めずに見ても面白くなければならない、という側面があるので。そうすると、瞬間的に分かりやすく芝居をした方が、“ながら見”でも理解してもらえる。ですので、『ここでもう少し気持ちを足してデフォルメした方が伝わるな』という、役者としての計算が加わるんです」と吉田さん。続けて「でも、それは本来、余計なんですよね」と女優としての考えを語る。

 ただ、ときには過剰な演技も求められる。吉田さんは「限られた条件の中でも、できるだけ百合をやっているときの感覚に自分を近づけたいと思いながら戦ってはいます」と打ち明ける。「それがどうしてもできないときは、まず答えを自分の中で出す。『この芝居をするためには、どういう心持ちでいたらいいのか』という計算を組み直します」と現場での葛藤や工夫を明かす。

 ◇吉田羊が明かす“理想の芝居” 女優としてのプロ意識も

 「コールドケース2」の現場では、「百合をどう演じるか、考える必要がなかった」と吉田さんはいう。「シーズン1では、本当は人に寄り添いたくても、小さいころのトラウマがあるせいで距離を詰められない、というシーンがあったんです。でも今回は、ある程度シーズン1で百合の人生を生きてなじんでいたので、『ここで百合はどうするだろう』と考える必要がなかった。『私が台本を読んで動いたことが、百合だ』と思えたので、話が早かったですね」と前作の経験が血肉になっていたことを明かし、「幸せでしたね」とほほ笑む。

 続けて、「演じていて無理がない、というのは私にとって理想的。百合は私にとって天職というか、自分なのか百合なのか分からなくなる瞬間が何回もあるぐらい、百合と一体化していたので、演じていて無理がなくいられた。『演じるって、こうやって役を生きることなんだ』と思わせてくれた役でもあるんです」と理想の芝居について語る。

 吉田さんが役者として常に抱いている思いとは何か。数々の作品に出演している吉田さんだが、いつもどのようなことを意識しているのか。「役者に振られる役って、制服やスーツを着る役じゃない場合、ほとんどがそのへんにいる普通の人たちの役なんですよね。そういう意味では、普段自分がいろんな場面で何を感じ、どういうことをしているのか、それを意識しておくことが、役を振られたときの引き出しになっていくのだと思います。そういうことは心がけていることかもしれないです」と吉田さん。

 垣間見えるのは、高いプロ意識だ。「職業病でもあるんですけど、例えば悲しい場面に立ち会ったとき、自分はこういうふうに泣くんだな、こういう気持ちになるんだな、とどこかで見ている自分がいて……。それは悲しいことでもありますけど、この仕事をやる上では助けになりますし、必要だと思います」と笑顔で語った。

 「連続ドラマW コールドケース ~真実の扉~」は10月13日からWOWOWプライムで毎週土曜午後10時に放送される。全10話で第1話は無料放送。

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