水曜日のダウンタウン
電気イスゲームトーナメント ほか
11月6日(水)放送分
公開中の映画「コンフィデンスマンJP」(田中亮監督)は、2018年4月期に放送された“月9”ドラマ「コンフィデンスマンJP」の映画化だ。ドラマから引き続き、人気脚本家の古沢良太さんが映画の脚本を執筆した。シリーズは、信用詐欺師すなわちコンフィデンスマンが、さまざまな業界を舞台に、欲望にまみれた人間たちから大金をだまし取るという内容だが、そんな信用詐欺(コンゲーム)をネタにした作品を書くにはコツがあるのだろうか。また、続編の構想は? 古沢さんを直撃した。*本文中に物語の核心に触れる部分がありますので、ご注意ください。
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「今回でいえば、ジェシー(三浦春馬さん)とボクちゃん(東出昌大さん)の対決とか、あるいは、ダー子(長澤まさみさん)がジェシーの方に行ってしまうのではないかとか、そういうシーンを、“だましている”とか“芝居だから”というニュアンスで書かないで、これが本筋の話ですよという気持ちできちんと書けば、お客さんもそういうふうに見てくれるのではないかと思います」と、古沢さんは“コンゲームもの”を書くコツを明かす。
とすれば、今回の「ロマンス編」でにおわせている、ダー子とボクちゃんの間の恋愛感情の真偽も気になるところだが、「ボクちゃんは(ダー子のことが)好きでしょうけれど、それが恋愛なのかどうかは……。僕がそれを言ってしまうのはよくないと思うので、見た方の判断にお任せします(笑い)」とのこと。
では、かつて恋人同士だったというジェシーとダー子の関係はどうなのか。それには、「ジェシーは、ダー子のことが本当に好きだったと思います。ダー子も好きだったとは思います。ただ、ダー子の人の愛し方ってまたちょっと特殊で、赤星(江口洋介さん)のことも好きですからね。ダー子は、基本的にはすごく“愛の人”なので」と説明する。
ターゲットをまんまとだまし、大金をせしめ、そのだまされる過程を見ている観客や視聴者をも欺いてみせるのが、このシリーズの面白さだ。一方で、ドラマでは、正義感や家族愛、美への探求心といった“本物”も存在していた。
そこで、今回の「ロマンス編」で古沢さんが本物として描きたかったことを聞くと、「愛でしょうね」と即答。「ボクちゃんとダー子の感情線は、一応、それがいわゆる恋愛として、本音かどうかは定かではないにしても、ダー子、ボクちゃん、ジェシーの間にある愛というのは本物だと思うし、物語的には、前田敦子さんが演じてくださった“鈴木さん”が傷つけられたということが発端で、彼女が泣いているシーンが最初にあるわけですから、あれにちゃんと気づけていれば、割とヒントになるのではないかと思います」と語る。
“鈴木さん”のシーンについて「あれを書く時、結構、迷ったんです。ここで、この伏線を入れてしまったら、いろいろばれるかなと。ともかく、そういうダー子の、自分の“子猫”に対する愛情というものも本物だと思います」と言い切った。
映画は5月17日の公開以降、順調に観客動員を伸ばし、21日目となる6月6日の時点で観客動員が約150万人、興行収入19億円を突破している。ヒットを受けて、6日に開かれたイベントで、映画の第2弾の製作が発表された。
ダー子たちの活躍はまだまだ続いてほしい。古沢さんにも「続けられるのなら永遠に続けたいです」とシリーズ化の意欲はあるようだ。ならば今年、誕生50周年を記念して公開される「男はつらいよ」のように、半世紀に及ぶ長寿作も夢ではない? すると、「う~ん、僕がそれまで生きていますかね」と苦笑い。
今回の「ロマンス編」に出演した東出さん、リチャード役の小日向文世さん、五十嵐役の小手伸也さんは、映画の続編があるなら、ハワイなど暖かいところがいいと取材に答えていたが、古沢さん自身は、「暖かいところに行きたいですけど、具体的にどことは考えていない」そうだ。
シリーズ化について、現時点では「気力だけはありますが、アイデアはありません(笑い)」と古沢さん。それでも、「次に何をやるか分からないですけど、設定も全部変えちゃってもいいなと思います。時代も変えちゃうとか、(ダー子、ボクちゃん、リチャードの)3人の関係性も一回おじゃんにして、まったく違う話にしても面白いなと思いますけどね。それで、宇宙に行ってもいいですね」とアイデアを膨らませていた。
(取材・文・撮影/りんたいこ)
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