清原果耶:戦時中ヒロイン役で過酷ロケ 「心が潰れるんじゃないかと…」

NHKの特集ドラマ「マンゴーの樹の下で~ルソン島、戦火の約束~」試写会後の会見に出席した(左から)山口まゆさん、渡辺美佐子さん、岸惠子さん、清原果耶さん、伊東四朗さん (C)NHK
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NHKの特集ドラマ「マンゴーの樹の下で~ルソン島、戦火の約束~」試写会後の会見に出席した(左から)山口まゆさん、渡辺美佐子さん、岸惠子さん、清原果耶さん、伊東四朗さん (C)NHK

 女優の清原果耶さんが7月22日、東京・渋谷のNHK放送センターで行われた同局の特集ドラマ「マンゴーの樹の下で~ルソン島、戦火の約束~」の試写会に登場。戦時中のヒロイン・凛子を演じた清原さんは、タイで過酷なロケに挑んだといい「ロケの6日間は本当に毎日、体と精神が世界の果てにあるような感覚でした。(凛子の友人の)綾役の山口まゆちゃんと一緒に戦時パートを生きていて、撮影をしている時はこのまま朽ち果ててしまうんじゃないかと思いながら撮っていたので、無事に完成したことがすごくうれしいですし、達成感もありました」と振り返った。

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 BSプレミアムで放送予定の拡大版では、戦時中のヒロインが、食べるものもなくなり、飢えに苦しんでいるという状況の中、虫を炒(い)って食べるシーンもある。清原さんは「生きている虫の中から動かないものをとって、針で糸を通す作業を本当にしたんですけど、すごく虫が苦手なので、心が潰れるんじゃないかと思いながら撮影をしました」と明かした。

 さらには「後々考えたら、凛子もきっと虫なんか食べてきたことのない生き方をしてきた中で、ああいう状況に直面したときに同じ精神状態になったんじゃないかなと。そこの気持ちがもしリンクしていたなら、あの体験もこの撮影で体験したことも全部いい方向につながっていくと思えました。同世代の方にも見ていただきたいと思える作品に出来上がっていると思います」と思いを語った。

 「マンゴーの樹の下で」は、元号が令和に代わり、初の終戦の日関連のNHK特集ドラマとなる。太平洋戦争中、6000人以上の民間の日本人女性が暮らしていたフィリピンで、窮乏生活の本土に比べ、むしろ安定した生活を送っていたが、1944(昭和19)年、米軍の猛攻が開始されるや状況は一変し、彼女らは軍の指示に従い、ルソン島内を北へと向かうが、その多くは旅の途中で命を落としてしまう。辛くも生き残った女性たちが書き残した戦争体験を元に描かれ、戦後の昭和・平成を生き抜いたヒロイン・凛子を、岸惠子さんと清原さんがリレーで演じる。

 岸さんは「私は戦争体験者ではありますけど、戦場体験者ではないわけです。空爆の中を逃げまどい、引きずられて入った防空ごうを見て、『ここにいたら死ぬ』と思って、みんなが止めるのも聞かずに飛び出しました。外は地獄でした。その防空ごうにいた人はみんな土砂崩れと爆風で亡くなりました。戦後は親戚に農家がなかったのでひもじい思いをして、本当に食べるものも食べられなくてやせ細っていく思いをしました」と告白。

 今回が12年ぶりのNHKドラマ主演となったが、「撮影に入ってからはその撮影方法のあまりの変化にびっくりしてしまいました。つまり、私はフィルム時代の女優だったんです。フィルムが大事な時代だったので同じシーンを何回も撮り直すっていうことにまずびっくりしました」と驚きつつ、「完成したドラマを昨日、見て、本当に心にしみるドラマでした。私たちの現代版も、そして戦場の中の若い2人(清原さんと山口さん)もすごく良かったんです。ぜひ、BSで拡大版も見てください」と力を込めた。

 会見には渡辺美佐子さん、伊東四朗さんも出席した。ドラマはNHK総合で8月8日午後10時~同11時13分に放送。8月中にBSプレミアムで89分の拡大を放送予定。

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