北村一輝:朝ドラ「スカーレット」で憎めない“ダメおやじ”体現 キーワードは「愛」?

NHK連続テレビ小説「スカーレット」にヒロインの父・川原常治役で出演している北村一輝さん (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「スカーレット」にヒロインの父・川原常治役で出演している北村一輝さん (C)NHK

 女優の戸田恵梨香さんが主演するNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「スカーレット」に、ヒロイン喜美子(戸田さん、子供時代は川島夕空さん)の父・川原常治役で出演している北村一輝さん。亭主関白で自分勝手で見えっ張りで酒飲み、それでいて困った人を見捨てておけない性格から、やっかいごとを引き受けてしまう常治の、どこか憎めない“ダメおやじ”ぶりを体現し、早くも人気を集めている。そんな常治を「一言でいうと、昭和のお父さんです」と言い切る北村さんに、初の朝ドラや役柄、撮影現場の印象を聞いた。

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 ◇根本には必ず愛 「川原常治という役を、ぜひ深く見てほしい」

 焼き物の里・信楽(しがらき)を舞台に、女性陶芸家の草分けとなる“究極の働き女子”の波瀾(はらん)万丈な人生を描く「スカーレット」で、念願の朝ドラ初出演を果たした北村さん。「本当に幸せです。朝ドラに出るのが夢だったといっても過言ではない(笑い)。本当です。大河ドラマ(2009年の『天地人』)の撮影中に、土曜スタジオパークで『朝ドラに出たい』と話していました。そこから10年かかりましたね」としみじみ。

 常治は戦後に手を出した事業で失敗。借金から逃れるため、家族を連れて信楽へとやって来た。喜美子ら3人の娘をこよなく愛しているが、しつけには厳しい。また、喜美子の明るさと楽天家は「父親譲り」とされ、大阪弁による常治と喜美子の軽妙なやりとりも見どころとなっている。

 「川原常治という役を、ぜひ深く見てほしいですね」と話す北村さんは、「たまに許せない部分もあると思います。お酒を飲みすぎたり、怒ったり、逃げたり、器の小さい男でもありますが、その奥には『愛』という人間が必要としている部分がしっかりとあるキャラクターになっていると思います」と自信をのぞかせる。

 また「(常治は)一見すると、亭主関白で、酒ばかり飲んでいる自分勝手な父、借金もしたりと、いいことゼロですが、常治には『怒る』の裏側に深い愛情がある」といい、「愛情があるからこそ怒鳴ったり、愛情があるからこそ本気で怒る。その絆が家族にも伝わっていて、根本には必ず愛がある。表面的には『もう常治という親父、いいかげんにしろ!』と感じるときもあると思いますが、見ていると何か憎めない。そんなところがあるキャラクターではないかと思います」と印象を明かす。

 ◇常治と喜美子のボケとツッコミ 絶妙コンビネーションの裏側

 撮影現場の印象を聞くと、「すごく楽しいです。例えば百合子役の子役は年齢が上がるにつれて、どんどん変わっていきます。これは 長い期間を描くドラマの醍醐味(だいごみ)ですよね。成長の過程を見ることができ、家族を作っていける。そういった部分では、やはり短編のドラマとは違う面白さがありますよね」と回答。

 その一方で、大阪出身の北村さんは「一つ注意していることといえば、自分も含め、大阪ことばのネーティブ同士で話していると、話すスピー ドがすごく速くなる。だから気を抜いてしまうと、感情が乗ってくるにつれ、会話がどんどん速くなり、関西出身ではない人には聞き取れない会話になってしまいがちです。気持ちが乗っているときは速いし、逆に遅くなったときは『あ、途中で気づいたな』と思ってください」と裏話を披露。

 北村さんと絶妙なコンビネーションを披露している“チビきみちゃん”こと川島さんについては、「もう本当に元気で度胸もあり、関東出身にもかかわらず、しっかりと大阪ことばのせりふも覚えて完璧に準備していて、すごくえらいなあと感心していました。彼女の持っている根本的な明るさや目の強さも印象的です。2人で『何してんねん!』のようなボケとツッコミを何度もやっていました。仲がいいからこそできる、大阪ならではの対話です。全国的に見ると分かりにくいかもしれませんが、大阪だと親しいからこそ突っ込んだりしますよね。『あほか』の中にも親しさがある。そういった部分を取り入れ、2人で一緒に雰囲気を作りました」と振り返った。

 最後に北村さんは「ぜひ、常治の表面だけではなく、その人の人間性を奥深く感じ、家族を含めた周りの人たちとのやりとりも楽しんでいただければいいなと思います」とアピールすると、「そして喜美子の頑張り、成長、そして愛情がドラマを通して皆さんに届きますように」と願っていた。

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