わたしの宝物
第6話 生まれ変わったら本当の親子になれるかな・・・
11月21日(木)放送分
女優の井上真央さん主演のNHK連続ドラマ「少年寅次郎」(総合、土曜午後9時)の第3話が11月2日に放送され、同話の途中で寅次郎役は藤原颯音君(9)から井上優吏さん(14)へと受け継がれた。とにかく、ほろりとさせられることの多い今作において、大きな魅力となっているのが、“寅さん”こと故・渥美清さんを想起させるルックスと雰囲気を持つ颯音君と優吏さんの存在だ。1~3話の演出を手掛けた本木一博さんに、今作を「男はつらいよ」の“エピソードゼロ”たらしめた2人の“寅ちゃん”の素顔を聞いた。
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「少年寅次郎」は、国民的映画シリーズ「男はつらいよ」の主人公・車寅次郎(寅さん)の少年時代を題材にした、山田洋次監督の小説「悪童(ワルガキ) 小説寅次郎の告白」(講談社)のドラマ化。寅次郎の出生の秘密から、戦争を挟んだ悪ガキ時代、そして最愛の妹さくらに見送られて葛飾柴又の駅から旅立つ14歳までの物語だ。
脚本を手掛けているのは2017年度前期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ひよっこ」などで知られる岡田惠和さん。寅次郎の育ての母・車光子役の井上さんとは、2011年度前期の朝ドラ「おひさま」以来、8年ぶりのタッグとなった。
寅次郎と光子を中心に家族の絆が描かれた岡田さんの脚本は、笑顔と涙の緩急があり、3話では、中学生になった寅次郎の前に“初代マドンナ”として森七菜さん演じるさとこも登場。お互い好きな食べ物が「がんもどき」だったことから、寅次郎は一人で勝手に盛り上がるも、さとこには他に好きな人がいて、あえなく撃沈……と、よくて“いい人止まり”、その恋は実ることはないという、まさに“エピソードゼロ”らしい展開となった。
1話から3話途中まで寅次郎を演じた颯音君、そして中学生になり、心優しくてホレっぽい寅次郎を体現する優吏さんを、演出という立場で見守ってきた本木さんは、「2人とも、せりふがたくさんあって細やかな演技が求められる大きな役を演じた経験が全くないので、当然カチカチに緊張していました」と振り返る。
颯音君について「テストと本番の時だけ『集中』するように、この1点だけ何度も言い聞かせました」と言い、「一番の魅力である、天真らんまんで素直な部分を萎縮させないように、なるべく放っておこうという意図です」と説明する。
さらに颯音君は「強烈な人懐っこさと素直さで、どんどんキャストの方たちと『家族』になっていった」と言い、「そうすると甘えてダレてきたりするので、そのたびに『寅! 寅! 集中だぞ! 集中!』と引き締めましたが、合計して1万回くらい『寅!』と言ったのではないでしょうか」としみじみしつつ、「撮影の終わりごろにはちゃんと自分で集中するようになって、こっちがちょっと寂しいと思ったくらい、目まぐるしく成長していきました」とうれしそうに語った。
一方、優吏さんについては、「京都生まれ京都育ちの井上君は東京の言葉から全て練習しなくてはなりませんでした」と話し、「しかも超真面目な性格で、礼儀正しくいつも緊張した様子で静かに座っていて、ケラケラ笑いながら自由自在にスタジオを駆け回る颯音君の性格と『足して2で割れたら……』と何度思ったことでしょうか」と思わず本音をぽろり。
そんな優吏さんには、「テスト、本番以外の時も『笑顔』でいるようにチャレンジしてもらった」といい、「すると衣装や現場の雰囲気も手伝って、次第に作った笑顔ではなく、優しい男気のある寅さんの演技が自然と出てくるようになり、最後はさくらちゃんと一緒に朝から晩まで笑顔で演技していました」と感心していた。
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