映画「ゾンビランド:ダブルタップ」(ルーベン・フライシャー監督、11月22日公開)の日本語吹き替え版に出演している女優の安達祐実さん。映画は2009年に公開された「ゾンビランド」の続編。安達さんが声を担当するのは長年ゾンビから隠れて生き抜いてきたギャルのマディソン(ゾーイ・ドゥイッチさん)というセクシーでキュートなキャラクターで、安達さんはハリウッド映画の吹き替え初挑戦となる。安達さんにアフレコの収録エピソードや演じる上で大切にしている思いなどを聞いた。
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映画は、2009年に爆発的なウイルス感染により地球上の人類がゾンビと化す中、コロンバス(ジェシー・アイゼンバーグさん)、タラハシー(ウディ・ハレルソンさん)、ウィチタ(エマ・ストーンさん)、リトルロック(アビゲイル・ブレスリンさん)は仲間と共に、ゾンビ社会を生き抜いていた。そして、2019年、ゾンビたちはパワーもスピードもレベルアップした“新種”として進化を遂げており……という展開。
安達さんは、今作がハリウッド映画の吹き替え初挑戦。かつて主演した映画「REX 恐竜物語」でせりふをアフレコで録(と)ったことがあり、そのときから実は「アフレコは苦手だと思っていた」と明かす。その後もアニメなどで声の仕事をしてきたが苦手意識は変わらず、今作の話を聞いたときも「できるかな、という思いが強かったです」と語る。安達さんは「私はちょっと変わった声なので、大丈夫かな、という不安もあった」といいつつも、「なかなかない機会ですし、面白い映画なので『やりたいな』という気持ちの方が勝ちました」と笑顔で振り返る。
声を演じるマディソンは、天然で、セクシーかつキュートなキャラクター。安達さんは吹き替え版で場の空気を一変させるような振り切ったテンションの高い演技を披露している。演じるマディソンは自身とは正反対のキャラクターだったという。「私にはない要素ばかりで……。私はすごくテンションが低い人間なので(笑い)。もう38歳だからギャルでもないし、どうしようかな、と思っていました。実際は英語だとそこまでテンション高くしゃべっていなくても、日本語で吹き替えてみるとテンション高い方がマディソンらしくなる、ということもあったので、想定していたよりもテンション高くしたんです」と明かす。
安達さんといえば、1994、95年に放送された名作ドラマ「家なき子」(日本テレビ系)で主人公を演じ、ブームを巻き起こした。今回の吹き替えではそれを彷彿(ほうふつ)させる「家なし子でーす!」というせりふもあり、にやりとさせられる。安達さんはこのせりふについて、「そこに特に力を入れて……ということはなく、すごく違和感を感じながら録りました」と苦笑し、「本人(字幕版のマディソン)、絶対言ってないですし(笑い)。そういう申し訳なさと気恥ずかしさもありながら、あとで聞いてみたら、そこだけはちょっと恥じらいが出た声になっています」と照れ笑いを浮かべる。
今作で見事にテンションの高いギャル役を演じた安達さん。これまでにも女優として、数々の幅広い役柄を演じてきた。そんな安達さんに、演じる上で大切にしている思いを聞くと、「最近ではいかに主演が輝けるか、全体の中での自身の役割をより大事に考えるようになった」という。「脇役で作品に入らせていただくことが多いので『主役がすてきに見えるように』ということをすごく考えています。昔は、脇役でも『インパクトを残そう』とか『爪痕を残していこう』という気持ちが強かったんですが、年齢を重ねて自分も丸くなったのか(笑い)、どれだけ全体の力になれるかということを考えるようになりましたね」と心境の変化を語る。
演技についても、5年ほど前から考え方に変化があったという。「より多方面というか、『普通だったらこうかもしれないけど、ちょっと違う表情をしてみよう』と、自由度が上がった感じがすごくしています。昔から、人間にはいろいろな面があるから一面だけで考えない方がいいと教わってきたんですが、なかなか実践するのは難しく、正解を出そうとお芝居をしていたんですが、今は『別に正解じゃなくてもいい』と。違う方法にしろと言われても、別にいいやと思えるようになりました」と語る。
そういった考え方は、すべて「お芝居を楽しいと思いたい」気持ちからだという。「いかに新鮮さを失わずに楽しんで同じ仕事を続けていけるか、ということも大きいと思います」と安達さんは言い、「正解を出すことが楽しい時期もあれば、人の予想を裏切るのが楽しい時期もあるし、きちっと滑舌よくせりふをしゃべるのが気に入っている時期もあれば、だらだらしゃべってみようとか思ったりする時期もある。いつもお芝居を『楽しいな』と思いたいだけのことだと思っています」と相変わらずのキュートな笑顔で語った。
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