海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
10月14日にスタートした連続ドラマ「#リモラブ ~普通の恋は邪道~」(日本テレビ系、水曜午後10時)で、弱気だが誠実な33歳の独身・青林風一役を務める俳優でシンガー・ソングライターの松下洸平さん。今年3月まで放送されたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「スカーレット」で、戸田恵梨香さん演じる主人公の喜美子の夫・十代田(そよだ)八郎役で注目を集めた松下さんは、今回が朝ドラ後初の連ドラレギュラー出演となる。朝ドラを経て、「役としての“経験”の大切さ」に改めて気づかされたと明かす松下さんに、自身の芝居に対する変化や、現場に臨む上での心がけなどを聞いた。
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ドラマは、波瑠さん扮(ふん)する恋をサボってきた“おひとり様”産業医・大桜美々の久しぶりの恋を描く物語。美々が恋をしたのはSNSで知り合った顔も名前も分からない相手だが、どうやらその人物は同じ社内にいるらしい……という展開で、「スカーレット」でも脚本を担当した水橋文美江さんによるオリジナル作品だ。
松下さんは、水橋さんとの“再タッグ”について「また、水橋さんのせりふを話せるんだ、とすごくうれしかったです」と喜びを語る。「『スカーレット』で初めてご一緒しましたが、水橋さんのお書きになるせりふや掛け合いにはリアリティーがある。とても生々しくて、言葉が生きているなと感じます」と魅力を明かし、「だから僕は水橋さんのせりふを話すのがとても楽しいんです」と笑顔を見せた。
松下さんは、今回演じる青林風一をはじめ、役作りの過程で「台本に書かれていないバックボーンの部分を埋めていく」ことを大切にしているという。
「どこで生まれて、どういう環境で育って、というのは僕の中では必ず決めるようにしています」と、キャラクターの生い立ちにこだわる理由には、朝ドラでの経験が深く関係していて、「朝ドラでは、20代前半から50代半ばまでの八郎を演じましたが、40、50代を演じるときには、それまでと比べて皆さんととても豊かなお芝居ができたと感じたんです。それは役を長く“生きていた”からこそだと思います」と、松下さんは話す。
「例えば出会ったころの喜美子の顔や、息子の武志をひざに乗せていた感覚を、想像ではなく役として知っている。この“経験”は役を演じる上で改めて大切だと気づきました」と振り返り、「演じるキャラクターの“記憶”を、できる範囲でリアルなものとしてストックしておく必要がある。朝ドラを通しての芝居に対する変化はそこがすごく大きいです」と語ってくれた。
朝ドラをはじめ、ゲスト出演したドラマ「MIU404」(TBS系)では「切ない演技が堪(たま)らなかった」「泣けた」「良い俳優」といった声が寄せられるなど、繊細な演技が注目を集める松下さん。視聴者からの反響に対して、どのように感じているかを聞くと、「常にビックリしています」と言いながら照れ笑いを浮かべる。
「『MIU404』では、たくさんの方が涙したという声を聞いて驚きました。僕は演じるとき、視聴者の方にこう届いたらいいとかはあまり意識していなくて、ただただ目の前の役を一生懸命演じるだけ。もちろん役としての心情や言動は細かく考えて芝居をしますが、受け手に対して、こう感じてほしいといった“計算”はしていない」と明かす。
「作品は世に放たれた瞬間に、見た人のものになっていくと思っていて。どう受け取るかはそれぞれ見ている人次第だなといつも思います」といい、「だから、今回のように“予想外”の反応があると『わあ、そうなんだ』とうれしくなりますね」と柔らかい表情で語った。
ドラマから舞台まで幅広く活躍する松下さんだが、現場に臨む上で大切にしていることはあるのだろうか。そう尋ねると、松下さんは「フラットでいることですね。現場にはいつも通りの自分で臨むようにしています」と答え、どこまでも自然体な魅力が尽きない。
「やっぱり20代のころは良く思われたくて、かっこつけていたんです。でも、絶対にそうじゃないことがバレる(笑い)。だったら、最初からかっこつけずに、ありのままいようかなと。30代になったあたりから、フラットでいられるようになりましたね」と飾らずに話した。
また、さまざまな役を演じる中で自分を見つめ直すこともあり、「スカーレットを通して、僕は八郎さんから学ぶことがすごく多かった。それに、共演者の皆さんとお芝居することで、たくさんのエネルギーや刺激をもらうので、自分自身の私生活や人生に影響する部分もありますね」と語る。今回の青林からも「きっとたくさん学ぶことがあると思います」といい、クランクアップ後に「どんな自分になっているのか楽しみ」と声を弾ませた。
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