放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
俳優の吉沢亮さんが主演を務めるNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(総合、日曜午後8時ほか)が2月14日にスタートする。最終回の平均視聴率(世帯)18.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した前作「麒麟(きりん)がくる」が、1週前に終わったばかりで、視聴者も気持ちの切り替えが難しそうだが、果たして……。主人公は、江戸から明治という時代の転換点で活躍し、その後も現代日本の礎を築き、“日本資本主義の父”とも称される人物、渋沢栄一。演じるのはもちろん吉沢さんだ。2019年の連続テレビ小説(朝ドラ)「なつぞら」における“天陽くんフィーバー”が過去のものになりつつある今、「青天を衝け」の渋沢栄一役でさらなる高みへと向かおうとする吉沢さんの歩みを振り返ってみたいと思う。
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吉沢さんは1994年2月1日生まれ、東京都出身の27歳。2009年に行われたオーディション「アミューズ全国オーディション2009 THE PUSH!マン」をきっかけに芸能界入り。2011~12年に放送された特撮ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」では、朔田流星(仮面ライダーメテオ)を演じた。
以降、数々のドラマや映画に出演し、俳優としてのキャリアを着々と重ねてきた吉沢さん。マンガ実写化作品との相性も良く、2017年の邦画実写ナンバーワンヒットとなった「銀魂」(福田雄一監督)では沖田総悟役がハマり役となった。また2018年公開の映画「ママレード・ボーイ」(廣木隆一監督)で、ヒロインの相手役となるクールな男子高校生・松浦遊を演じた際には、原作者の吉住渉さんが「吉沢さんの遊くんはカッコよすぎて直視できない」と、その“美”に太鼓判を押したほど。
そんな吉沢さんの勢いはさらに加速。2018年11月には「国宝級イケメン」という新たな称号を手にする。これは女性ファッション誌「ViVi(ヴィヴィ)」(講談社)の恒例企画で、吉沢さんは「’18年下半期 ViVi国宝級イケメンランキング」で「今一番好きなイケメン(NOW国宝級編)」1位を獲得。同誌の公式サイト「NETViVi」の「国宝級イケメンランキング」特集ページでは、「平成史最高峰の美男」として紹介された。
2019年4月に始まった朝ドラ「なつぞら」では、ヒロインのなつ(広瀬すずさん)の幼なじみで、笑顔がキラキラとまぶしい“天陽くん”として大ブレークを果たす。第12回(2019年4月13日放送)で初登場してからは、それが本編であろうと予告編であろうと、吉沢さんが少しでも画面に映れば、「天陽くん」がツイッターでトレンド入りしてしまうほど人気は過熱。第23週「なつよ、天陽くんにさよならを」(2019年9月2~7日)は、天陽くんの最期をめぐる物語として、ドラマの中で一、二を争うほどの盛り上がりを見せた。
「なつぞら」では、物語の時代性を超越し、どんな場面であっても摩耗しない“美”以上に、改めて演技力を高く評価された吉沢さん。同作の磯智明チーフプロデューサーも、天陽くんの「光」と「影」を見事に体現した吉沢さんについて、「ナイーブ、繊細な芝居はできると思っていたんですけど、なつに向けた天陽のまぶしさというものが今回は本当によく出ていて、そこのギャップ感は吉沢さんならでは。見ている人にとっても新鮮に映っただろうし、トータルな部分で彼にこの役をやってもらって本当に良かったなって思っています」と話していた。
また「なつぞら」放送と時を同じくして劇場公開された映画「キングダム」では、えい政と漂(ひょう)の一人二役を演じ分けただけでなく、長髪をなびかせてのアクションなど、スクリーン映えする姿を随所に披露。同作の演技で翌2020年の「第43回日本アカデミー賞」で最優秀助演男優賞に輝いた。
大河ドラマに話を戻すと、まず目に付くのが吉沢さんの主演俳優としての若さだろう。2月1日に27歳になったばかりで、「青天を衝け」の菓子浩チーフプロデューサーは以前、「『青天を衝け』では青春というキーワードで、みずみずしく若々しい渋沢栄一を切り取りたい。そう考えたときに、20代ですごく活躍されていて、芝居を託せる方ということで吉沢さんを選んだ」と主演抜てきの理由を明かしていた。
その若さが枷(かせ)になる瞬間はあるだろうし、最初に書いた通り、「なつぞらの天陽くん」はすでに過去のもの。また「近代大河は数字(視聴率)が取れない」とも言われている。それでも吉沢さんの人を画面に引きつける力は本物。「青天を衝け」の渋沢栄一役を通じて、吉沢さんが「国民的俳優」になる日が来ることを期待したい。
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