海に眠るダイヤモンド
最終話前編(9話) あの夜
12月22日(日)放送分
吉沢亮さん主演の大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(NHK総合、日曜午後8時ほか)で、草なぎ剛さんがひょうひょうとしていながら、どこかかげりのある演技を見せ、視聴者から高い関心を集めている、“最後の将軍”徳川慶喜。同作の江戸パートの中心人物であり、また、吉沢さん扮(ふん)する渋沢栄一と対となる、“もう一人の主人公”だ。過去の大河ドラマでも、1998年の「徳川慶喜」をはじめ、幕末の最重要人物として描かれてきた。ここでは、草なぎさんより前に、大河ドラマで徳川慶喜を演じた、“慶喜俳優”を紹介する。
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大河ドラマと徳川慶喜と聞いて、真っ先に思い浮かべるのは、やはり「徳川慶喜」で主人公の慶喜を演じた本木雅弘さんだろう。昨年の大河「麒麟がくる」でも、“美濃のマムシと恐れられた男”斎藤道三として、破格の存在感を示した本木さんが、“最後の将軍”慶喜に扮したのは、今から23年前。当時、本木さんは30代前半で、知的でクールな慶喜として、見事に大役を務め上げた。
「青天を衝け」から3年前の幕末大河「西郷(せご)どん」(2018年)では、松田翔太さんが慶喜を演じた。登場した当初は、将軍職に目もくれず、いなせな町人風を決め込んだ“ヒー様”として人気に。物語の中盤以降は、主人公・西郷吉之助(隆盛、鈴木亮平さん)と敵対。ヒール(悪役)としてドラマを盛り上げた。そのほか劇中では、高梨臨さん扮(ふん)するふきとのラブロマンスも話題に。
「西郷(せご)どん」の一つ前の幕末大河「花燃ゆ」(2015年)では、お笑いコンビ「どぶろっく」の森慎太郎さんが慶喜役という、少々トリッキーなキャスティング。同作では相方の江口直人さんが、薩摩藩の島津久光を演じ、そろって大河初出演を果たした。
2013年の「八重の桜」にも徳川慶喜は登場。同役を務めたのが小泉孝太郎さんで、当時「今でいう“上から目線”の人物として演じることで、はっきりとしたヒール役になることがこの作品ではいいだろうと思いました」と語るなど、あえてヒール色を打ち出した慶喜像を構築した。
そのほか平成の大河ドラマでは、田中哲司さん(2010年「龍馬伝」)、平岳大さん(2008年「篤姫」)、今井朋彦さん(2004年「新選組!」)、三田村邦彦さん(1990年「翔ぶが如く」)が、“慶喜俳優”として名を連ねている。
約60年の歴史を持つ大河ドラマに初めて徳川慶喜が登場したのが、1968年の「竜馬がゆく」とされ、このときは(初代)尾上辰之助さんが演じた。
また、1974年の「勝海舟」では、今では徳川家康のイメージが強い津川雅彦さんが慶喜役を経験。大河ドラマ10作に出演している伊藤孝雄さんも、1977年の「花神」で慶喜に扮した。
いずれも劣らぬ名優ぞろいといった印象だが、最新の大河“慶喜俳優”の草なぎさんが、今後「青天を衝け」で、どんな演技を披露してくれるのか。幕末という日本の歴史の転換点と共に、引き続き注目だ。
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