森山良子:最初の撮影はるいとの再会シーン「込み上げてくるものがあった」 「カムカム」で晩年の安子役「私の中に安子が存在」

NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第111回の一場面 (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第111回の一場面 (C)NHK

 上白石萌音さん、深津絵里さん、川栄李奈さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「カムカムエヴリバディ」(総合、月~土曜午前8時ほか)。4月7日放送の第111回では、アニー・ヒラカワこと安子(森山良子さん)とるい(深津さん)がついに再会する、劇的な展開となった。「るいとの再会のシーンが最初の撮影だった」と振り返る森山さんに、晩年期の安子を演じる上で心がけたことや、安子の印象などを聞いた。

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 ◇安子の渡米後はあえて放送を見ず

 森山さんは、役作りで「ドラマの中の(上白石さんが演じる)安子を見ていた」といい、「どういうふうに育って、どういういきさつでアメリカに行ったかということや、安子がしゃべる雰囲気とか、そういうところを見ていました」と明かす。だが、「結局自分っぽくなっちゃうものですからね。まねができるというものでもないですし、50年、60年の間に人も変わると思います」とも語る。

 「逆に、安子がアメリカに行ったあとの放送は見ていないんです。『おっ、ちょっとこれ見ちゃいけない』と思って、途中で視聴を止めました」という。

 その理由は、「私が知る必要がない内容だと思ったんです。安子はアメリカに行ってあえて日本に背を向けている。だから、ドラマで描かれている出来事をあまり情報として自分の中に入れてしまわない方が、そのまま安子が年を取ってアニーになった感じが出せると思ったんです。だから、演じていて安子の気持ちのままで日本に戻って、アニーになっているような感覚です」と話す。

 ◇安子は「スッと生きては来られなかった」

 森山さんは、安子の印象を「生まれてアメリカに行くまで、家柄の差や戦争など、いろんなことに阻まれてスッと生きては来られなかった」人物だと表現。「それを思うと、本当に切ないです。(夫となった)稔(松村北斗さん)さんのことも、ずっと大事だったと思います。最初に好きになった人とようやく一緒になれた喜びと、その大切な人があっという間に戦争にいって帰ってこなかった切なさは、本当にやるせない」と語る。

 「言葉に表せないくらいつらかっただろうと思うし、そういう方たちがあの当時たくさんいらしたんだろうなと思います。これだけのつらい思いをした人がたくさんいた、という戦争に対するメッセージにもつながっていますよね。人の気持ちや人の歩んでいく道筋、心向きが繊細に描かれているので、一つ一つのせりふに感動しています」と当時の人々へ思いをはせた。

 ◇再会拒んだ理由は「みんなの幸せを台なしにしてしまう」

 るいとの再会のシーンが最初の撮影だったという森山さんは、「るいを見ただけでとても込み上げてくるものがあって、るい役の深津絵里さんを何度も抱きしめたほど。るいに再会できて『すごくうれしかった』と言うと変ですが、母である安子の思いがとてもよく理解できて、私の中に安子が存在していることを感じました。るいへの切ない気持ちはずっとありましたね」と振り返る。

 また、深津さんについて「すごくすてきな女性」といい、「母親と離れて生きてきたことを感じさせる、凜(りん)とした美しさとたたずまいというか、強さというか、そういうものがものすごく感じられてとても感動しました」と印象を語る。

 アニーとして来日し、るいとの再会を拒んでいるような言動も話題になったが、「おいのジョージ(ハリー杉山さん)から岡山に行くことを促される場面で、アニーは『明日ここをたって、もう二度と日本には戻ってこない』と強がりを言うんです。その言葉の背景にはここで自分がみんなの前に出ていったら、せっかく今、みんなが幸せにしているものを台なしにしてしまう。私は私で、アメリカで幸せになっているんだから、これでいいんだと自分に言い聞かせている気持ちがあるんだと思います」と安子の心情を自分なり類推した。

 「自分の一番大切な娘のことですから、片時も忘れていないんですが、自分から身を引くところに胸が詰まってしまいました。なんでこんなに強いの? 安子!って思うくらい。昔の日本の女性の慎ましくもたくましい一面を感じました」と、安子の“芯の強さ”を語った。

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