1979年にスタートしたABCテレビ(朝日放送テレビ)の朝の情報番組「おはよう朝日です(おは朝)」(月~金曜午前5~8時)。場面転換の際に、番組キャラクターの「おき太くん」「めざめちゃん」の横でエレクトーンを弾いているのが、第12代“エレクトーンのお姉さん”の赤崎夏実さんだ。「おは朝」といえばエレクトーンと、番組開始当初から関西の朝をその音色が彩ってきた。エレクトーン演奏だけでなく、時には他のコーナーにも出演し、「おは朝」ファミリーの一員として欠かせない存在となった赤崎さんの魅力に迫る。
ウナギノボリ
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「おはよう朝日です。ただいま5時8分です」と、忙しい朝の時報代わりに、エレクトーンで短い音楽フレーズ「ジングル」を弾きながら時刻を告げる赤崎さん。関西の朝ではおなじみの光景だ。
赤崎さんは1989年8月5日、兄2人、妹1人の4人きょうだいの長女として神戸市に生まれた。3歳からヤマハ音楽教室に通い、エレクトーンを始めた。大阪音楽大学短期大学部ジャズポピュラー科を卒業。「おは朝」には2009年9月から出演している。
赤崎さん自身、「エレクトーンのお姉さん」について、「関西にいたら当たり前やと思っていたけれど、お天気お姉さんのような並びで“エレクトーンのお姉さん”がいること自体、不思議だなと思って。『おは朝』といえばおき太くん、めざめちゃんとエレクトーンと皆さんが言ってくださるので、この伝統をしっかり守っていかないと」と感じている。
出演はオーディションで決まった。「びっくりしました。“エレクトーンのお姉さん”って、はかなげで清楚(せいそ)なイメージがあったんです。だから家族も『夏実には無理やな』って(笑い)。日焼けが大好きで、パーッと外で遊ぶタイプなので、イメージが違い過ぎると。まさか受かるとは」と振り返る。
赤崎さんの起用の決め手は、「選んでいただいたプロデューサーさんに、あとから『キャラクターで選んだ』と聞きました」と明かす。オーディションでは自由曲を披露する課題があり、「ニコニコもせえへんと、ゴリゴリのカッコいい系の曲をバーッと弾いて、『ありがとうございました!』と去っていきました。それが、これまでのイメージと違って面白かったようです。『なんやこいつ、ここでこんな曲を弾くんや』という感じで。私はエレクトーンを聴いてほしかっただけなんです」と笑顔で振り返る。
それから12年10カ月。前任者・谷川知未さんの7年半という出演記録を2017年に塗り替え、歴代最長を更新し続けている。「長くやっているという実感がなくて。あっという間やった」と感じている。
視聴者にとっては“エレクトーンのお姉さん=赤崎さん”になりつつある。「街で結構声をかけてもらえるんですが、高校生に『小学生のときから見てます』って言われて、えっ、そんなにたってる?ってぞっとしましたね」と笑う。
関西らしく、「知り合いのように、『なっちゃん!』ってよく声をかけられます。衣装のスカートやワンピースのイメージがあるのか、普段着だと『なっちゃん、デニムはくんや』『Tシャツ着んの?』って意外なようで、急にそれ聞く?みたいな感じで(笑い)。『いつも見てるよ』『明日も頑張ってね』とか、年上の方だと『娘みたい』と家族のように感じてもらえて、フランクに声をかけていただけて、うれしいです」と顔をほころばせる。
番組で赤崎さんは、エレクトーンをカメラ目線で弾きながら、時刻や提供を読み上げる。どんな気持ちで弾いているのかと聞くと、「そういえば、何も考えてないですね(笑い)。鍵盤は子供のころから見ないでも弾けます。感覚でどこに何があるか分かっているので、手を鍵盤の上に置いて、足をペダルの上に置いたら本能で動く」という。演奏より「頭の中はこれから読む時刻と提供の名前を考えているので、話す方に集中しています」と明かす。
3歳から慣れ親しんだエレクトーンの楽しさは? 「『一人オーケストラ』っていわれるんですけれど、全部一人でできるのが良いところ。弾く人によってスタイルも違えば、テクニックに加え、音の作り方、ドラム一つでもリズムの作り方、ドラムの選び方などにその人の個性が出るのが面白いなと思います。無限の可能性を秘めています」と表現する。
同じジングルでも「同じ楽器を使っても、間の取り方だったり、指の引っかけ方だったりで、私が弾くのと、別の人が弾くのと全然違うんです。聴く人によると、私にも癖があるっていわれます」といい、自分自身の演奏でも、「番組で昔の映像が出ると、弾き方が変わっていると気づいたりします。知らず知らずのうちに進化しているというか、時にねちっこかったり、飛び跳ねていたり、結構バージョンが変わっていて面白い」と楽しそうに語る。
現在は大阪で一人暮らし。月~金曜の毎朝5時から出演するが、1日のスケジュールは「午前2時45分に起床、3時45分にスタジオに入ります。番組が終わって、スタッフみんなで朝ご飯を食べて。そのあと、仕事があれば仕事、なければ家に帰ります。夜は午後10時にはベッドに入ろうと心がけています」という。
体調管理についても「一番は体やなと思います。声がれが怖いので、喉の乾燥には敏感になってますね。でも一番はストレスをためないこと。好きなものを食べる、したい、行きたいと思ったことを聞いてあげられる自分でいたい」という。
テンションを上げる方法は「おいしいものを食べることと旅行。とにかく旅に出るとリセットされますね。少しコロナ禍が落ち着いていたときは、週末、国内旅行に毎週のように行っていました」と明かす。
エレクトーンは「一生付き合っていくんやろなっていう相棒」だという赤崎さん。「おは朝」の出演者やスタッフは「本当にファミリーなんです。毎日のように同じ人に会えるという安心感。私も長いんですけれど、私よりも長い方がスタッフさん、出演者さんにもすごく多い。だから、エレクトーン奏者で歴代最長といわれても長い気がしなくて。いつまでもひよっこやと思っています」と語る。
「おは朝」では、2015年に「おは朝音頭」を作って大阪で盆踊り大会を開催。また赤崎さんは、2016年に番組の企画で「神戸マラソン」に出場し、4時間52分25秒で完走した。今後も「状況が許せば、視聴者の皆さんと何か一緒にできること、イベントなどができたらいいなと。普段は毎日楽しく番組をお届けできたら」と考えている。
最後に、“エレクトーンのお姉さん”はいつまで続けたい?と聞くと、「どこまで続けたらいいんやろなと(笑い)。前のプロデューサーさんからは『40、50代になって(お姉さんではなく)おばはんやないかい!』と言われろと(笑い)。『それはやりすぎよ』って笑い話はしてるんですけどね」と笑顔で語った。
*赤崎さんの崎は「たつさき」
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