ムロツヨシ:シリアスな役は「やっと見せられる部分」 “明るい、面白い”だけではない多面的な俳優へ

「連続ドラマW 雨に消えた向日葵」で主演を務めるムロツヨシさん
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「連続ドラマW 雨に消えた向日葵」で主演を務めるムロツヨシさん

 7月24日スタートのWOWOWの連続ドラマ「連続ドラマW 雨に消えた向日葵(ひまわり)」で主演を務める俳優のムロツヨシさん。“明るい、面白い”というパブリックイメージのあるムロさんが本作で演じるのは“笑う必要がない”刑事の奈良健市だ。「やりたいと思っていた演技をやっと見せられる部分があります。どのような評価をいただけるのかが楽しみです」と今までと違った面を見せるムロさんに、シリアスな役に挑んだ思いを聞いた。

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 ドラマは吉川英梨さんの同名小説(幻冬舎文庫)が原作。少女失踪事件の真相を追う刑事と、失踪した少女の家族の苦悩と執念の日々を描いたヒューマンミステリー。奈良は、自身の妹をある事件から守れなかったことを後悔し、罪滅ぼしのごとく懸命に少女失踪事件の捜査にあたるという役どころだ。

 ムロさんは役を伝えられずに脚本を渡されたことを明かし「どうしても自分の役のせりふを考えてしまうので、フラットに脚本を読むことができました。ストーリーにすっと入り込んで、刑事ドラマとしても人間ドラマとしても興味深く読ませていただきました」と話す。

 ムロさんが演じる奈良は、冷静で仕事熱心。上司や同僚からの信頼も厚いが、心の内は見せない……というキャラクターだ。そんな役への印象を聞かれると「妹に起きたことを背負って、生きる覚悟を持っている男」と分析し、「捜査が進まない苦しみ。家に帰ってからの苦しみ。心が安まるところがない。(ストレスの)はけ口はどこにしていたんだろう?といろいろ考えました」と試行錯誤しながら演じていったという。

 奈良を演じる上で、土方政人監督からは「昭和の刑事ドラマっぽさ」を求められたといい、「最近はテレビでも避けるようになっていますが、『ムロさん、たばこを吸ってもらってもいいですか?』と言われました。昔、私もたばこを吸っていたので、その仕草を思い出しながらやりました。シリアスなシーンなので、かっこつけたり、自分に酔ったりするわけではなく、良きあんばいで。(そのシーンを)自分で見たら、こんなことができる役者になったのかと思いました(笑い)」と語った。

 ◇「無関心が怖い」 違う面を見せて今後の活動につなげる

 今回の奈良という役。一見、ムロさんにとっては新しい挑戦になるようにも見えるが、「新しいということではない」と語る。「私自身、役者としても人としてもですが、一面しかないのではなく、二面、三面、四面とあります。25、26年の役者人生で、今回のような役を求められていなかったから知られていなかっただけで、やっとこのような自分が見せられるという感覚です」と、違う面を演じられることを喜ぶ。

 ムロさんといえば、“好きな役者・好きな脚本と舞台がやりたい”という思いから2008年からスタートした舞台シリーズ「muro式.」を主宰している。

 「やっぱり舞台を見ていただきたいですね」というムロさんは「ドラマや映画でも、いろんな作品を提示できれば舞台も見に来ていただけると思うんです。飽きられることよりも無関心が怖いので、違う面を見せられる作品に出会えたのは大きいですね」と今回のオファーは、今後の自分の活動にもつながっていくと話す。

 本作の出演にあたり「『何かを信じる』ことの必要性や重みを、真っすぐにお伝えできたら、と思います」とコメントしたムロさん。

 ムロさんが信じているものを聞くと「直感でもないですし……難しいですね(笑い)。現代は、これが許されて、この単語がダメというのもある。たたく、イジるもポイントを間違えるとハラスメントにもなるときもありますよね。以前は問題なかったことも、今やったらダメなこともある。なので、昔の自分を信じてそのままやっても今だと通用しないこともある。信じるって難しいですね。難しいですが、『何かをやりたい』という自分を信じています」。次々と新しいことを考える自分自身を信じて、時代に沿った面白いエンターテインメントを届けていく。

 「連続ドラマW 雨に消えた向日葵」は7月24日スタート。日曜午後10時からWOWOWプライム、WOWOW 4Kで放送、WOWOWオンデマンドで配信。全5話で第1話は無料放送。

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