俳優の役所広司さんが主演、菅田将暉さん、森七菜さんが共演する映画「銀河鉄道の父」(成島出監督)が、2023年のゴールデンウイークに公開されることが9月19日、発表された。役所さんは子育てに奮闘する宮沢政次郎、菅田さんが丸坊主でダメ息子の宮沢賢治、森さんがしっかり者の妹、宮沢トシを演じる。
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映画は、宮沢賢治の生涯を父親の政次郎目線で描いた門井慶喜さんの同名小説が原作。2016年の小説発売後、2017年に映画化プロジェクトが発足し、6年越しで公開されることとなった。
役所さん扮(ふん)する政次郎は、責任感と情熱のある男だが、長男の賢治が生まれると、明治の男としては珍しく子育てに熱心で子供には甘いという役どころ。菅田さんが演じる賢治は、質屋を継ぐことに反発し、学力もないのに学問の道へ。さらには農業や宗教の道を希望するなど、親泣かせの息子。森さんが演じるトシは、政次郎と賢治がうまくいくように指南する存在だ。
「八日目の蟬」(2011年)や「いのちの停車場」(2021年)などで知られる成島さんが監督を務める。撮影は今年の5、6月に行われた。
キャスト、スタッフ、原作者のコメントは以下の通り。
原作に、宮沢賢治の父・政次郎のことを「厳格だが、妙に隙(すき)だらけの父親だ」というような一文があり、これを手がかりに息子であり、作家・宮沢賢治の大ファンの男を演じていこうと思いました。また、この人物を作り上げるために「花巻弁」を聞き取れるギリギリまで攻めていけば、強力な武器になると信じ、頑張りました。成島組に集まったスタッフ、キャスト、素晴らしいチームでした!
クランクイン前に、岩手県花巻市に行きました。町の至るところに、宮沢賢治さんの言葉や生きた証しが残っていて、その残り香を感じることができました。一人の生き様が約100年後の今なおこれほど土地に影響を与えている。そして、その言葉や思想、物語は海を渡り世界中に伝わっている。改めてそんなことを思うと、あまりにも大役で身が引き締まる思いでした。
しかし今回はその家族のお話です。賢治の父や母、妹、弟、祖父、家族との時間がいかに彼の人生にとって大切であったか。偉大な作品の裏側を想像すると、一人の何者でもない青年にも見えてきました。役との出会いはいつも不思議な縁を感じますが、今回ほど出会えて良かったと思わされた現場も珍しいように思います。過不足なく演じることは不可能かもしれませんが、自分なりに宮沢賢治と真摯(しんし)に向き合わせていただきました。どうか、よろしくお願いします。
今回、宮沢賢治の妹・宮沢トシを演じさせていただくことになりました。「銀河鉄道の夜」や「風の又三郎」など、あの名作たちが生まれた時間を肌で感じることができたことは、今後の人生においてもとても貴重で豊かな経験になりました。宮沢賢治作品は国語の教科書などで読んだりもしていたので少し難しく考えてしまっていましたが、そんな若い世代の人にも、宮沢家の温かく愉快で人間味あふれる時間が描かれたこの作品を通して、より宮沢賢治作品を楽しめるきっかけにもしていただけると思います。
どんな時代でも、親は子の心配をし、振り回されるものです。それは、国民的作家、宮沢賢治の父にも当てはまりました。門井慶喜さんの原作で描かれている、宮沢賢治の父・政次郎の“父でありすぎる”人物像に魅了されました。そして、ダメ息子だった賢治が、生きる道を見つけ、若くしてその生涯を閉じるまでを、底なしの愛で包み込んだ宮沢家の人々に、普遍的な家族の絆を感じました。
役所広司さんの大らかで人を惹(ひ)きつける父・政次郎、菅田将暉さんの繊細で透き通ったガラスのような息子・賢治、森七菜さんの賢明ではじけるような輝きを放つ妹・トシに、ご自身の家族や大切な人を思いながら見ていただけたら幸いです。
子供が親を選べないように、親も子供を選べない。生まれてくるのは天才か、努力家か、それとも生活能力のない夢想家か。
宮沢賢治はそのすべてだった。ありあまるほどの生活能力を持ち、家の将来に全責任を負わなければならない父・政次郎との共感。衝突。その向こうにあるものの輝き。
この世には、親子の数だけ銀河がある。私は今回の映画化をもっとも楽しみにしている者の一人です。
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