水曜日のダウンタウン
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11月13日(水)放送分
テレビ東京の経済ドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(金曜午後10時)。これまで、経済の現場で奮闘している人たちを通して、さまざまな経済ニュースの裏側に迫ってきた。今年4月に放送開始から20周年を迎えたことを機に、かつて番組に登場した“主人公”の現在の姿を紹介する「ガイアの夜明け あの主人公はいま」がスタート。同企画で、新撮部分のナレーターを務めているのが俳優の蟹江一平さんだ。番組の初代ナレーター、故・蟹江敬三さんの息子で、過去の映像と新撮部分を織り交ぜた「ガイアの夜明け あの主人公はいま」内で、時空を超えた“親子共演”が実現している。一平さんにナレーターとしての思いを聞いた。
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2002年4月の放送開始から、2014年3月に死去するまで「ガイアの夜明け」の初代ナレーターとして活躍した敬三さん。以降、番組ナレーターは杉本哲太さん(2代目)、眞島秀和さん(現3代目)へと引き継がれてきた。
一方、一平さんは同局の経済ドキュメンタリー番組「未来世紀ジパング」のナレーターを2015年から担当し、2019年9月の番組終了まで務め上げた実績を持つ。「ガイアの夜明け あの主人公はいま」への起用は、ある意味、必然だったのかもしれない。
敬三さんの闘病に伴い、多くのベテラン俳優が「ガイアの夜明け」のナレーターに“代打起用”されていたころ(2014年前半)、本人いわく「道場破り的」に収録スタジオを訪れ、「僕でどうですか」とスタッフに直談判したことがあったという一平さん。
「当然、玉砕だったのですが(笑い)。実際に台本を読ませてもらって。好きな相手には告白しないと気が済まないタイプだったので、それはそれでスッキリはできたんです。結局、父が亡くなるまでいろいろな方が代打を務めて、最終的には2代目は杉本哲太さんがやるようになったのですが、当時、テレビ東京が誇る三大経済番組のうちの一つ、『未来世紀ジパング』のナレーションの仕事を、その1年後に指名を受けてやることになったので、あながち道場破りも無駄ではなかったと思うし、そこから4年半務めたという成果もあって、今回『ガイアの夜明け あの主人公はいま』のナレーションをやることになったのかなと思います」
父・敬三さんが存命中、俳優同士として共演したことがなかったという一平さん。どんなふうに現場にいたのかも「見たことがない」といい、それは「ガイアの夜明け」も一緒だ。父親でありながら、大先輩でもあった敬三さんが2014年に亡くなり、一平さんの中に湧き上がったものは、「1回くらいは敬三先輩の波動を感じるような機会(共演)があってもよかったのかな」という後悔の念。そんな一平さんにとって、今回の時空を超えた“親子共演”はどのようなものであったのだろうか。
「晴れてナレーションに決まって最初の収録で、いきなり父の声が飛び込んできて、あの独特のトーンに少し過呼吸になるくらい心が動かされたんですね。元々は男同士のドライな関係で、ウエットな部分は全くなかったので、驚きもありました。言葉の置き方や『、』『。』の置き方、息継ぎと聴き入ってしまったんです、恥ずかしながら。初回はいろいろな意味で持っていかれてしまった、こういうナレーションだったんだって。ヘッドホン越しでしたけど、改めてパワーがある方だと思いました」
それは、改めて触れた“ナレーター・蟹江敬三”の魅力だったのかもしれない。
「親子としているときは会話は弾む方ではなかったですし、日常のトーンは日常のトーンでしかない。だから、僕自身がナレーターのモードになってヘッドホン越しで聴くと全く印象が違いました。もっと声がガサガサしているイメージがあったんですけど、意外とクリアで、こもってもいない、パキパキとしている。それは言葉が明晰(めいせき)に伝わるような意図的なものだと思いますし、軽妙でテンポもいい。最晩年に至るまでテンポ感は変わらずで、最初からずっとキーも含めて、変えないことを、自分の中の決まりごととしてやっていたんじゃないのかなって。おそらくですけど、声のコンディションだけはしっかりと整えて、常に同じトーンで、これも推測になってしまいますがフラットに私情を挟まないというか。存命なら『どうやっていたんですか?』と聞きたいくらいです」
一方で、“ナレーター・蟹江一平”として、「ガイアの夜明け あの主人公はいま」ではどんなことを意識しているのだろうか。
番組の山本充プロデューサーは、敬三さんと一平さんのナレーションの違いについて、「敬三さんの方は力強い。ディレクターをやっていたときに感動して『いただきました』って言ったら、まだテストだったという、それくらい常に力強くて、シーンに合っている。一平さんはどちらかというと優しくて、耳触り良く入ってくる。ベクトルが違うんですけど、どちらも被写体に寄り添ってくれる。一つのコンテンツにするときに、敬三さんの力強さと一平さんの優しさ、それぞれに寄り添うナレーションとして、いつもバランスがいいなって思って聞いています」とも語っていた。
一平さんは「僕がナレーターとして深く携わらせていただいたのは『未来世紀ジパング』なので、『ガイアの夜明け』は“父の聖域”であり、いち視聴者としての感情の方が強いんです。ましてや今、眞島さんがナレーターをやっていらっしゃる。そういうのもあって一番、思われたくないないのが、視聴者に『出たよ、2世』ってところで、当然デリケートにはなります。ただ少なからず、自分の中で『未来世紀ジパング』を4年半やったという積み重ねがあるし、オンエアを見てもらえたら、長年のファンも納得していただけると思います」と明かす。
成功談を語るのではなくて、今まさに成功を目指している人たちを追い続けてきた「ガイアの夜明け」。そういった人たちは、山本プロデューサーによると「20年たった今でも挑戦をし続けている」という。そんな「生涯挑戦者」たちの現在の姿に迫る「ガイアの夜明け あの主人公はいま」。
一平さんも「あくまで主役は登場している皆さん」で、だからこそナレーションは「絶対にウワモノとして心地よくなくてはならない」という思いがあるという。
「父もそれは思っていたはず。もちろん力強くて、声にパワーはあるけど、あれだけ濃い役者でありながら、“蟹江敬三です!”という感じにはならない。出てくる人たちの背中を押してあげるためのパワー。そこは勝手ながら継承できたらなって思っています」と誓った。
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