小栗旬さん主演のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(総合、日曜午後8時ほか)。放送は残り4回となり、物語はクライマックスを迎えつつある中で、回を重ねるごとに存在感を強めてきたのが、生田斗真さん演じる源仲章だ。主人公の北条義時(小栗さん)を“ダークヒーロー”とするなら、仲章は完全なる“ヴィラン(悪役)”。「バットマン」でいうところのジョーカーのように、ここに来て“悪い顔”をたっぷりと見せてくれている。そんな仲章の悪役ぶりを際立たせているのが、生田さんのムカつくほど巧みな演技で、義時役の小栗さんが「ほんっとにムカつきます」と本音を漏らすほど、初の三谷幸喜作品で妖しい輝きを放っている。
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源仲章は後鳥羽上皇(尾上松也さん)の側近で、第31回「諦めの悪い男」(8月14日放送)から登場。表向きは三代目鎌倉殿・源実朝(柿澤勇人さん)の教育係だが、鎌倉にやってきてからは、時にスパイまがいの動きを見せ、義時にゆさぶりをかけてきた。
「和田合戦」の一つのきかっけとなった「泉親衡の乱」では、首謀者とされる謎多き信濃の武士・泉親衡に扮(ふん)するなど、京(都)になびく実朝を通して間接的に幕府を支配しようとする朝廷(上皇)の意を汲(く)み、文字通り暗躍してきた。
義時にとっては邪魔な存在でしかない仲章。実朝が跡継ぎ(次の鎌倉殿)として京から養子を取ることを決めてからは、徐々に自身の野心をあらわにするようになり、第43回「資格と死角」(11月13日放送)では、「朝廷と鎌倉を結ぶ役割に、私より適任の者がいれば教えてくれよ。私が執権になろうかな」と義時を嘲るシーンが登場。
朝の情報番組「あさイチ」(総合)に小栗さんが出演した際、「ほんとにあのときは“殺す”って思いましたね」と明かしていたが、これは生田さんのムカつく演技への最高の褒め言葉と言えるだろう。
直近の放送となった44回「審判の日」(11月20日放送)で仲章は、自分の優位性を見せつけようと、前鎌倉殿の頼家(金子大地さん)の死の真相をまるで知っているかのような口ぶりで義時を挑発。「望みはただの一点。人の上に立ちたい」ともはや野心を隠そうとはせず、「やがて目障りな執権(義時)は消え、鎌倉殿(実朝)は大御所となられ、新たな親王様を将軍に迎え、私がそれを支える」と言い切ってみせた。
その後、仲章は、義時の命で自身を暗殺しようとした雑色のトウ(山本千尋さん)を捕縛。雪が降りしきる夜、右大臣拝賀式が執り行われる鶴岡八幡宮に姿を見せると、大階段の下で控える義時へと近づいてきて、トウを捕らえたことを教え、「しくじったな。必ず(主の名を)吐かせてみせる」と自信満々の顔で宣言。手を差し出し、自分と太刀持ちを交代するよう義時に告げた……。
ここで見せた“悪い顔”は格別で、当然SNSでも「仲章の『びっくりした~? 生きてるよ~ん』の顔やっぱり激ムカつくわ!」「仲章の煽り顔良すぎだろ(めっちゃムカつく)」「仲章殿のだれがどう描いてもムカつく顔最高すぎるな(好き)」と絶賛コメントが並んだ。
生田さんにとって「鎌倉殿の13人」は、2014年の「軍師官兵衛」、2019年の「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」に続く3作目の大河ドラマ。出演発表の際、仲章について「未だ謎に満ちた人物ではあるのですが、思い切って、大胆に演じたいと思います」と意気込みを語っていた生田さんだが、その言葉通りの振り切ったヴィランぶりを最後まで見届けたいと思う。
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