若杉栞南:連ドラ脚本デビューした23歳 書き直しの連続も「よりこの仕事が好きに」

8月5日スタートの連続ドラマ「ハレーションラブ」で脚本を務める若杉栞南さん
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8月5日スタートの連続ドラマ「ハレーションラブ」で脚本を務める若杉栞南さん

 8月5日スタートの連続ドラマ「ハレーションラブ」(テレビ朝日系、土曜午後11時半)で、脚本を務める若杉栞南(かんな)さん。現在23歳で、連ドラを手掛けるのは今作が初めてとなった。次代のテレビドラマを担う新鋭脚本家に、脚本家を志した理由や目標を聞いた。

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 ◇初めてのシナリオコンクールで大賞

 若杉さんは昨年、「第22回テレビ朝日新人シナリオ大賞」の大賞を史上最年少となる22歳で受賞。今年3月に日本大学芸術学部を卒業後、脚本家として本格的に活動を始めた。

 脚本家を意識し始めたのは、大学1年生の頃。

 「もともと映画の演出やア-ティストさんのPV制作などに携わりたいなと入学したのですが、入った学部では1年生で映像と脚本を両方勉強することができ、そこで初めて脚本の世界に触れ、すごく面白いな、映像の前の構成の段階から自分で作ることができるんだ!と惹(ひ)かれていきました」

 2年生からは脚本専攻に進み、そして大学4年に進級する春、卒業後は脚本家を目指す決心をした。

 「大学の先生には『30歳ぐらいでデビューできれば良い方』と言われていたので、初めは就職して働きながらシナリオコンク-ルに出そうと思っていました。でも新入社員として働きながらそんなことができるのだろうかと悩みました。就活では映像関係の会社を1社だけ受けたのですが、そこがダメだったので、脚本で勝負する決意ができました」

 そんな折、応募したのが「第22回テレビ朝日新人シナリオ大賞」。初めてのシナリオコンクールだったが、結果はまさかの大賞だった。

 「(結果の)お電話をいただいたときは夢なんじゃないかと驚きました。たとえ1次審査が通らなくても、アルバイトをしながら目指すつもりだったのですが、賞をいただいたことで、背中を思い切り押していただいた気がしました」

 かなうかも分からない夢。意外にも家族の反対は「なかった」という。

 「母は服飾職人、父は家具職人なのですが、職人家系もあってか『就職しなよ』とは言われず『やりたいなら最後まで頑張りなさい』と背中を押してくれました。多分両親は、大賞を取っていなくても応援はしてくれていたと思うのですが、ある種の安心材料を両親に見せることができたのもうれしかったです」

 ◇世界に届くコンテンツを模索したい

 連ドラデビュー作となる「ハレーションラブ」は、亡き父の写真店を受け継いだ大学生・深山朱莉(高橋ひかるさん)が、現像を依頼されたフィルムに見覚えのある「モノ」が写っていることに気付き、15年ぶりに幼なじみの男子と再会したのと時を同じくして、街では不穏な事件が次々と起こり始めて……というラブサスペンス。

 今作のオファーがあったのは、大賞受賞後。「オリジナルの連ドラの企画書を出してみてとお話をいただき、もともとカメラが好きだったので、写真が物語のカギとなる作品で提出しました」と明かす。

 そして瞬く間に連ドラ化が決定。すでに脱稿しており「良い経験だったという言葉では申し訳ないくらい、貴重な経験をさせていただきました」と感謝する。
 
 「大学の先生に『最初から連ドラを全て任せられる若手はいない』と聞いていたので、メインライターとして全て任せていただけると聞いたときは驚きました。これまで連ドラの話数分の物語を作ったこともなかったので、監督やプロデューサーに助けられながらの執筆でした」

 「学生時代の4倍くらいのスピード感」で書いては、書き直してを繰り返したというが、「きつい」とは思わなかったという。

 「周りからも『大変だね』と心配されていたのですが、リライトを繰り返す中でいいものになっているのが目に見えて分かっていたので、むしろ楽しかったです。全話分書いてみて、書きたくないっていうことが一瞬もなくて。よりこの仕事が好きになりました」

 目標とする脚本家は、映画「さよなら渓谷」「そこのみにて光輝く」などで知られる高田亮さん。「高田さんのような面白い会話劇が書けるように頑張りたい」と意気込む。また「さまざまな配信形態で、コンテンツが世界中に届く時代なので、そこに合った作り方も模索していきたいです」と力を込めた。

 ※高橋ひかるさんの「高」は「はしごだか」。

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