放課後カルテ
第7話 お前が学校に来ようが来まいがどうでもいい
11月23日(土)放送分
松本潤さん主演のNHK大河ドラマ「どうする家康」(総合、日曜午後8時ほか)でお市を演じた北川景子さん。8月6日に放送された第30回「新たなる覇者」では、信長(岡田准一さん)の死後、織田家の実権を握った秀吉(ムロツヨシさん)への抵抗むなしく、夫の柴田勝家(吉原光夫さん)と共に自害するという、お市の最期が描かれた。死ぬ間際まで織田家の人間として誇り高く生きたお市を演じ終え、“今、思うこと”を北川さんに語ってもらった。
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信長の妹として乱世に生まれたお市。誇り高くて勇ましく、それでいて「織田家のために自分ができることは何なのか、自分に与えられた役割は何なのか、常に考えながら生きた女性」として描かれた。北川さんも「自分の中で、思い入れの強い役になりました」と振り返る。
「(浅井長政との)1回目の婚姻と、(勝家との)2回目の婚姻で立場は違って、その時々で翻弄(ほんろう)されながらも、嫁ぎ先でどう立ち回るべきか、ずっと頭を回転させ続けて、自分の居方やどこで自分の命を使うのか。そういったことをずっと考えている賢さを持った女性と思って演じていました」
北川さんがお市を演じていて、ずっと大事にしていたのが「家系の存続」だという。兄の信長が織田家と所領を大きくしようと戦を続けたように、お市もまた戦国に生きる女性として、ある意味、戦い続けた。
「お市は女性として生まれたので、実際に戦には出られないのですが、自分の家に誇りを持って、織田家の血統、血を後世に残していくという意味で、家系の存続をすごく考えていたと思います」
北川さんは戦国時代を「自分の家に誇りを持って、自分が置かれた立場、自分に与えられた役割をまっとうしながら、自分の方法で戦い抜こうとした人たちが生きた時代」と定義する。
「自分の家のために何ができるのか、それぞれが全力で考え、瞬時に判断して、命を懸けて戦う。その命を、どんな方法でどこで落とすのか、死ぬ瞬間まで、戦い抜く。それが戦国であり、みんなが誇り高く生きた時代だったのかなって思います」
今回、北川さんは、天璋院篤姫を演じた「西郷(せご)どん」(2018年)以来、5年ぶり2度目の大河ドラマ出演となった。
「初めての大河ドラマが『西郷どん』で、(当時)大河ドラマってこんなにも全国の人が見ていて、影響力のある作品なんだと実感しましたし、それから5年がたち、お市役の話をいただいたときは、すごくプレッシャーを感じました。お市は人気のあるキャラクターで、自分と発表されたときにどんな評判になるのかという心配もありましたし、“自分なりのお市”を演じ切ることができるのか、始まる前は不安も大きかったのですが、いざ撮影に入ってみると楽しくて。反響の声もいろいろといただけて、励みにもなりましたし、出演できてよかったなって思います」
再び大河ドラマに「出演できてよかった」という言葉の裏には、さらにもう一つの“秘めたる思い”があった。実は普段から「時代劇を絶滅させたくないと思っていた」という北川さん。
「大河ドラマに限らず、スペシャルドラマでも、映画でも、もっともっと時代劇がたくさん増えて、この先も『途絶えてほしくはない』と思っていたので、お市という役は初めてでしたが、時代劇にまた関われたこともすごくうれしかったです」
そんな北川さんは、戦国の世にあって、誇りを捨てず強く生き、また母として3人の子供を育て上げたお市から、どんな影響を受けたのだろうか。
「織田家のため、頭を使ったり立ち振る舞ったり、いろいろなことと“戦う”ことが彼女の“仕事”でもあったと思うのですが。働きながら子供を育てるというところは、自分と重なる部分でもあったので、勇気をもらうことが多かったです。お市は、戦国時代にしてはイマドキというか、自分の考えや世界観を持っていて、自分の意志で行動でき、仕事も子育てもしっかりとやっていたんだと感じられるところが、共感してもらえるポイントだったのではないのかなと思ってはいて。私も自分らしく、やりたいことを我慢したりせず、できることを精いっぱいやろうと、撮影のたびに勇気をもらいました」
改めて「元々、私自身が弱くないというか、強い人間かもしれないと思っていたので、そこがお市ともシンクロした」と話す北川さん。役からの影響で「ますます強くなってしまったという感じです」とも明かしていて、「どうする家康」後の活躍には、さらに期待できそうだ。