この世界の片隅に:初ミュージカル化 昆夏美&大原櫻子がすずに 周作役は海宝直人&村井良大 平野綾、桜井玲香も

「ミュージカル『この世界の片隅に』」のビジュアル(C)こうの史代/コアミックス・東宝
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「ミュージカル『この世界の片隅に』」のビジュアル(C)こうの史代/コアミックス・東宝

 劇場版アニメも話題になったこうの史代さんのマンガ「この世界の片隅に」がミュージカル化され、「ミュージカル『この世界の片隅に』」として2024年5月に日生劇場(東京都千代田区)で上演されることが分かった。同作がミュージカル化されるのは初めて。メインキャストも発表され、俳優の昆夏美さんと大原櫻子さんがダブルキャストで主人公・浦野すずを演じることが分かった。海宝直人さんと村井良大さんが、すずが嫁ぐ相手の北條周作、平野綾さんと桜井玲香さんが、すずと周作の三角関係となる白木リンをそれぞれダブルキャストで演じる。音月桂さんが周作の姉ですずにとっては義姉となる黒村径子役として出演する。上田一豪さんが脚本・演出を手がける。

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 「この世界の片隅に」は、マンガ誌「漫画アクション」(双葉社)で連載され、2009年に「文化庁メディア芸術祭」のマンガ部門優秀賞を受賞したこうのさんのマンガ。戦時中、広島市から呉市へ嫁いだ18歳のすずの生活が、戦争の激化で崩れていく様子が描かれた。片渕須直監督による劇場版アニメが2016年11月に公開され、単館系の作品だったが、異例のヒットを記録。日本アカデミー賞で最優秀アニメーション作品賞に選ばれたほか、アヌシー国際アニメーション映画祭で長編部門審査員賞を受賞した。2019年12月には、新規カットを加えた「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が公開された。実写ドラマ化もされている。

 ミュージカルは、2024年5月に日生劇場で上演された後、全国ツアーを展開し、「この世界の片隅に」の舞台である広島県呉市で大千秋楽を迎える予定。

 ◇浦野すず役の昆夏美さんのコメント

 原作マンガから映画化、実写ドラマ化され、さまざまな形で新しく誕生を続けたこの作品のミュージカル化ということで、今回はどのような「この世界の片隅に」が生まれるのかと期待に胸が膨らみます。初めてこの作品に触れた時、登場人物たちが日々の生活の中でささやかな幸せを見つけながら懸命に生きていた姿が心に残りました。かつてあった日本の日常と歴史をキャスト・スタッフ一同、舞台上で丁寧に描いていければと思います。

 ◇浦野すず役の大原櫻子さんのコメント

 台本を読ませていただいた時、ずっと涙が止まりませんでした。そして、劇中に歌わせていただく音楽を聴いて、改めて、この作品ですずを演じたい、と自分の気持ちが強まりました。アニメーションなどでも、多くの方に愛されている作品でもあり、今作の内容をお客様に届けるには、日本人として、大きな責任感と覚悟を持って臨まなければならない作品だと思っております。子供から大人まで、愛され、心に刻まれる作品にするため、一生懸命演じたいと思います。

 ◇北條周作役の海宝直人さんのコメント

 今回周作を演じさせていただきます。映画やドラマなどさまざまな形で愛された不朽の名作のミュージカル化初演に携われることを心から光栄に思います。この作品に初めて触れた時、淡々と描かれる日常の中にある生々しい温度感や息遣いにひき込まれ、胸を打たれました。この物語が伝えるものを自らの肉体を通してしっかりと皆様にお届けできるよう、作品と向き合ってまいります。素晴らしいクリエーター、キャストの皆さんと作るミュージカル「この世界の片隅に」にどうぞご期待ください。

 ◇北條周作役の村井良大さんのコメント

 この作品の映画版を祖母と一緒に映画館で見ました。上映後に祖母にいろいろと質問したことを覚えています。当時の食料不足や生活での知恵、戦争の爪痕……そして当時は何も物が無かった、と言っていました。しかし、作品の中ではさまざまな人間模様が丁寧に描写されていました。生きていくことの愉快さ、賢明さ、日常の中の小さな幸せ、前向きに生きている日本人たち。その細やかさを、心の奥深くに響くすてきな旋律にのせてミュージカルとして創作されることにとても興味が湧いています。忘れてはいけない歴史。心に残る作品を創れるよう懸命に向き合いたいと思います。

 ◇白木リン役の平野綾さんのコメント

 オーディションで世界観や音楽に初めて触れた時、ストレートプレーではなくミュージカルであることの意味をとても感じ、この作品のメッセージがたくさんの方に優しく降り注げば良いなと思いました。終戦から78年たち、当時の生活をリアルに伝えることで、過酷な歴史の中で生きた一人一人の人生の喜びや幸せ、葛藤を感じていただけたらと思います。リンとして見えるもの感じるものを大切に、精いっぱい役として生きていきます。

 ◇白木リン役の桜井玲香さんのコメント

 この世に生きる限り、身近な存在であり、決して忘れてはいけない〈戦争〉。その事実を、優しく、静かな厳しさをもって伝えてくれている作品だと感じました。映画、ドラマに続いてのミュージカル化。きっとまた新たなメッセージをこの作品でお届けできるかと思います。

 ◇黒村径子役の音月桂さんのコメント

 多くの方に愛され、これから先もずっとずっと語り継がれていくであろう作品に触れ、携わることができてとても光栄です。激動の時代を強く美しく生き抜いた人々の物語……全身全霊をかけてお届けしたいと思います。皆さまの心に響くぬくもりのある舞台になりますように。

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