海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
神木隆之介さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「らんまん」(総合、月~土曜午前8時ほか)では、第1週の「バイカオウレン」、第13週の「ヤマザクラ」、第20週の「キレンゲショウマ」など、必ず植物の名前が週タイトルに使用されている。その意図を、脚本を担当した長田育恵さんが明かした。
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長田さんは「万太郎(神木さん)が植物図鑑を作る話なので、最終回の放送が終わったとき、週タイトルを含めて(ドラマ自体が)植物図鑑のようになっているといいなと思い、初期段階から植物の名前をタイトルに使うことを決めていました」と話す。
また長田さんは、週タイトルに植物の名前を使用しながら、“植物だけ”の物語にならないよう、意識した。
「植物学者の話ではありますが、植物だけを発見する物語にしてしまうと、植物に興味がない視聴者は飽きてしまう。なので、植物と人間を結びつけることを最初の構想から意識していました」
第1週の「バイカオウレン」では、病弱なヒサ(広末涼子さん)のために子供時代の万太郎が奔走して花を探しに行くなど、花をベースにして人間ドラマを描いた。第5週の「キツネノカミソリ」は、早川逸馬(宮野真守さん)をイメージしてタイトルを決めるなど、工夫を重ねていった。
ほかには、万太郎の人生のモデルとなった牧野富太郎が発見した第17週の「ムジナモ」など、業績で決めたタイトルもある。
「東京大学に通っていた頃は、富太郎の業績として外せないものを週タイトルにしました。ただ、業績をメインとするのではなく、そこに携わる人間関係やそれぞれの心の綾をドラマ内で描くようにしました」
さらに長田さんの発想で、自由に決めた週タイトルもあるという。
「私がこういう文脈で使いたいという希望を出した上で、用意いただける植物から選んだものがあります。それが(第18週の)『ヒメスミレ』。小さな子供の目線に咲く花で、長屋にもあるような身近なものというリクエストから用意していただきました」と話した。
半年間放送する長い作業の中では植物調達が難しい週もあった。第8週の「シロツメクサ」は、初稿では牧野富太郎の自著に出てくる「カガリビソウ」をタイトルとして考えており、いったんは1週間分の脚本も書き上げた。
「撮影時期に合わず、カガリビソウが手に入らなかったんです。そのため、そのとき手に入るものから『シロツメクサ』となりました。植物が変わると自分の中で文脈も変わりますので、シロツメクサが生きる文脈を考え直し、ストーリーを組み立て直して、再度1週間分を書きました」と植物を題材にする難しさも口にした。
脚本は8月中旬に全て書き終え「今はホッとしています」と笑顔を見せる。
「無事にやり遂げられて良かったです。チームの皆さんの思いを損ねず、物語を紡ぐことができたと思います」
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