良いこと悪いこと
最終話 真犯人、だーれだ?
12月20日(土)放送分
ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組を放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、芳根京子さん、江口のりこさんがダブル主演を務める「テレビ報道記者 ~ニュースをつないだ女たち~」(日本テレビ系、3月5日午後8時)だ。
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ドラマは、日本テレビ報道局を舞台に、オウム真理教事件、秋葉原無差別殺傷事件、女子大学生殺人放火事件と時効撤廃、東日本大震災、新型コロナウイルス……などの大ニュースと、それらのニュースを伝えてきた報道記者たちの各世代ならではの悩みや、迷い、葛藤を描く。「情報を抜いた・抜かれた」で一喜一憂する先輩たちの姿に疑問を抱く新米記者の和泉令を芳根さん、バリバリの事件記者ながら一児の母でもある真野二葉を江口さんが演じ、2人の先輩記者役で、仲間由紀恵さん、木村佳乃さんも出演している。
報道の現場で奮闘する女性たちの物語だが、いわゆる“お仕事ドラマ”としても興味深く見られるのが特徴。専門用語や情報の裏取りから、誤報を出したときの顛末など、カメラがまわっていない時に起こったさまざまな出来事をリアルに描いている。
各年代ごとの大事件の映像も盛り込みながら物語を伝えているのもポイント。上九一色村でオウム真理教の麻原彰晃が逮捕される瞬間や、秋葉原無差別殺傷事件直後など、緊迫感のある実際の映像が当時を思い起こさせてくれるだろう。仲間さんが演じる曽根昭子は、日テレ初の女性総合職で報道記者として活躍した笹尾敬子さんがモデルだろうし、木村さん演じる平尾成美は、女性初の警視庁キャップで現社会部長の下川美奈さんを思わせ、よりリアリティーが増している。
昨今、“マスゴミ”と呼ばれ批判を受けることも多い職種がテーマだが、本作は“報道”のお題目で伝えることについて、“武勇伝”や“使命感”的なものを極力抑えている印象。筆者もかつて酒の席で先輩記者の思い出話を聞かされることが多かったが、向こうはそう思っていなくても、なんとなく自慢げに感じていたものだ。
しかし、本作は一定の問題提起も盛り込まれており、見られ方に心を配っていることを感じさせる。それでもさまざまな声が上がるかもしれないが。ただ、実際の映像も盛り込んだドラマとしての高い完成度はまた別の話で、その映像を撮影したのは当時の報道カメラマンなのだ。虚実織り交ぜた骨太の作品を見ていただきたい。
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