ザ・ロイヤルファミリー
Episode9「鐙~あぶみ~」
12月7日(日)放送分
俳優の松坂桃李さんが主演を務める1月期の日曜劇場「御上先生」(TBS系、日曜午後9時)。完全オリジナルの学園ドラマで、松坂さんの主演映画「新聞記者」(2019年)以来のタッグとなる詩森ろばさんが、ゴールデン帯の民放連続ドラマで初めて脚本を担当した。詩森さんが取材に応じ、松坂さんらキャストについて語った。
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「御上先生」は、日本の教育を変えようという思いを持つ文科省官僚の御上孝(松坂さん)が、私立高校「隣徳学院」に出向し、自ら教壇に立ち、令和の時代を生きる18歳の高校生を導きながら、権力に立ち向かっていく……という“大逆転教育再生ストーリー”。「アンチヒーロー」(2024年)、「VIVANT」(2023年)など話題になった日曜劇場を担当してきた飯田和孝さんがプロデューサーを務めている。
演劇界で長く活躍してきた詩森さん。今作は学園ドラマで登場人物も多いが、「群像劇を書くことが多いので、また演出家もやっているので、常に(人物は)動いてると思います。ただ、今回は時系列が長いのと人数の多さに苦労しました。あとミステリー要素もあるので、どの段階でどれを開示していったらいいかとか、開示されたときに納得感のいくものになるかとか、考え抜いて、すごく時間かけました」と語る。
登場人物が多いことで難航したのは役名もだという。「気を付けても字がかぶったり、気がつくと生徒と大人キャストの(名前の)音がかぶっていたり。キャラクターが決まっていくにつれて、キャラクターにフィットするかまで考えて、この名前じゃないから変えていいですかって言ったりしました。とにかく全員が名前と一体感がある役にしたいなと思っていました。演じる人は何カ月もこの役名で演じるわけなので。『隣徳学院』という学校名を決めるのもいいなと思うと実際にあったり、でも使われていない漢字を使うと学校らしくなくなっちゃったり。ようやく決まったときはうれしかったですね」と明かした。
脚本を書き進めるときも「自分の書くもので今までやったことはなかったんですけど、顔写真の横に名前を貼って、『次、このせりふは誰がしゃべるかな』って顔を見たりしながら書きました」という。
生徒役29人はオーディションで決まったが、詩森さんはこのオーディションに立ち会ったという。その理由は?
「私は立ち会っただけで、もし決まったときに、会ったことがあって、どういう子なのか、たたずまいがどうなのかを知っていたいっていう気持ちで参加していました。取材でもそうなんですけど、何でもすごく知っておきたいんです。だから(出演が決まった)生徒たちが出演したドラマなどもできる限り見ています。キャストの可能性を見ておきたい。特に生徒さんは未知数なので見ておきたいっていう気持ちはすごくありました」
決まった生徒キャストについては「本当にすてきな、ものすごい子たちが集まってるなって思いました。この子がこの役になりました、とプロデューサーから聞いたときは意外に感じた人も、いざ髪形を整えて教室にいる姿を見ると、最初からその子だったかのように座っていてくれている。それを見て、制作陣のキャスティングが素晴らしいなと思いましたし、映像という厳しい世界でこれから生き抜いていこうとする彼らのポテンシャルの高さのようなものを感じました」と感心する。
さらに「みんな予想を超えてますね。びっくりすることの方が多いです。中でも、中心になっている(神崎役の)奥平(大兼)さんはものすごいプレッシャーのかかる役を本当によくやられてるなと思います」と重ねて感心していた。
その神崎と常盤貴子さん演じる元教師の冴島の絶妙な距離感も話題になっているが、「神崎くんが自分の記事によって人生が変わってしまった人と関わってくっていうのは最初のプロットの段階からあって、脚本を書き進めていくうちに常盤さん演じる冴島が入ってきた形なんです。2人のシーンはこういうシーンが書きたくてこの仕事をしているというシーンではあるので、気持ちを入れて丁寧に書きました」と話す。
2人のシーンを見て「もう最終話まで(脚本は)できているので、常盤さんに関しては登場からパーフェクトだなと思いました。神崎くんも素晴らしいし、ぜひこの続きをご期待ください。最後まで少しずつ2人の関係が進んでいくので、見応えがあると思います。今回のドラマの大事な幹の一つですね」とアピールする。
松坂さん演じる主人公の御上は“官僚先生”だ。教師という職業を扱うことについては、「私の基本的な考え方として、職業は尊敬されるべきだと思っていますので、“職業もの”をやるときに、それは官僚の仕事もそうですけれど、職業に対してリスペクトのないものは書いちゃいけないと思っています。テレビドラマなので多少の誇張などはありますが、できる限り正確に。教師は、とても素晴らしい仕事で、人間と関わるという意味では、他の仕事とは簡単に一緒にはできない仕事でもあると思います。そういうリスペクトの気持ちが伝わるドラマになっていたらいいなと思います」と語る。
御上のキャラクター造形について、「当初ダークなヒーローがいいと(プロデューサーの)飯田さんはおっしゃっていて、私もそうですねって言ったんですけど、どうも私の資質的にダークヒーローはちょっとうまくいかなくて、ニュータイプのヒーローというか、ヒーローじゃなく、ニュータイプの先生だなっていうふうに思っています」と表現する。
演じている松坂さんについては、「松坂さんの作品はほとんど拝見してましたし、常に追いかけてはいたので、松坂さんなら何を書いても大丈夫だと、引き算をあまりせずに書きました。やっぱり2回目の信頼感はあるかなと思います」といい、「顔合わせの第一声で私はちょっと感動してしまって。最初の本読みからもう完璧だったんですよ。一度撮影も見させていただきましたけど、そのときもパーフェクトで、放送を見たらパーフェクト以上。本当に素晴らしいなと。あるインタビューで松坂さんが『御上は愛の人だ』とおっしゃっていて、私が一番込めたかったかったことを、あのクールが物言いの脚本の中から読み取っていただけているということが、ものすごくうれしかったし、信頼しています」と絶大な信頼を寄せる。
「新聞記者」で松坂さんが演じた杉原も“官僚”という意味では御上とイメージが重なるのかと思いきや、「全然違う人間だと思って書いているし、意識も全然しなかったんですけど、杉原はシステムに結局つぶされていく側になってしまうので、今回はそうならないように書きたいっていうのはありました。勇気を持って起こした杉原の行動がどこにも届かないものになってしまったということに対して、私は少し苦さを感じていたので、今回は……という思いはありましたね」と明かす。
最後に、6話以降に向けて、「6話で『御上先生動く』という感じで、さらにちょっと人間らしいところが出てきます。6話以降、怒涛のように大人キャストに変化と内面に抱えているものが出てくると思います。もちろん生徒にも。皆さん先の展開を前提にした素晴らしい演技をされてるなと 見ていてちょっと泣きそうになったりします。特に6話は、御上の行動に制作陣も私も脚本段階で盛り上がったところなんです。そこをどう松坂さんが演じられているのか本当に楽しみにしていますし、ぜひ視聴者の方も楽しみにしていただきたいです」とメッセージを送った。
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