奈緒:受刑者役で得た学び 30代を迎えての興味は

「連続ドラマW-30『塀の中の美容室』」(金曜午後11時)で主演を務める俳優の奈緒さん ヘアメイク:竹下あゆみ スタイリスト: 岡本純子
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「連続ドラマW-30『塀の中の美容室』」(金曜午後11時)で主演を務める俳優の奈緒さん ヘアメイク:竹下あゆみ スタイリスト: 岡本純子

 8月22日スタートのWOWOWドラマ「連続ドラマW-30『塀の中の美容室』」(金曜午後11時)で主演を務める俳優の奈緒さん。受刑者で美容師という難役に挑んだ奈緒さんに、作品を通して得たものや30歳を迎えての心境などを聞いた。

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 ◇撮影前から美容師の練習 人の髪の毛をカットする体験も

 刑務所内で営業する実在の美容室をモデルに描かれた桜井美奈さんの同名小説(双葉文庫)が原作。女子刑務所の中で受刑者が一般客の髪を切る「あおぞら美容室」を舞台に、さまざまな人たちとの出会いを通し、受刑者で美容師の主人公、小松原葉留(奈緒さん)が自ら犯した罪と、これからの人生に向き合う姿を描く。

 原作を読んでの感想を、奈緒さんは「刑務所の中の話だけではなく、携わる外の人たちの話でもあったところが面白いなと感じました。ドラマもきっとたくさんの方に自分の話として見ていただけるのではと思いました」と話す。

 「誰にでも葉留になる可能性があるのだと、改めて感じる読後でした。葉留の人生と葉留の家族の人生と、そこにもし自分が携われるとして美容室に行ったらどんな話をするだろうとか、いろんな人の立場から想像が広がる作品。見終わった後に誰の立場で何を想像したかを聞いてみたいなと思う作品です」

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 奈緒さんが演じる小松原葉留は、一般客を相手に営業する刑務所内の「あおぞら美容室」の美容師という役どころ。撮影前から1カ月ほど練習を重ねた奈緒さんだが、「技術を習得するにはあまりにも短すぎる時間」と振り返りつつ、「1カ月の練習期間をもらえるのはとてもありがたいこと。しかも不安に感じて練習の回数を増やしてほしいとお願いしたところ聞いてくださった」と感謝する。

 「エキストラさんに募集をかけて、マネキンではなく実際に人の髪の毛をカットする体験も事前にさせていただきました。あの時間がなかったら叶わないシーンもあったのでは」

 奈緒さんは撮影前に原作のモデルとなった岐阜県の笠松刑務所を訪問。撮影は法務省矯正局の協力のもと、実際の刑務所内も使用されているが、印象に残ったことを聞くと「普段の私たちが過ごす中にはないルールがあったので、そこは大変でした。台本のト書きには書かれていない部分をみんなで埋めていく作業は貴重な経験だったなと思います」という。

 「知らなかったのですが、受刑者が歩いていて誰かとすれ違うときは壁の方を向いて待っていないといけない。実は作品の中でもさりげなくそういうところが出てきて、見ている方には違和感があると思いますが、受刑者にはそれが日常。そういった一つ一つのルールに驚くことがたくさんありました。台本を読んだ時点ではわからなかった部分が、葉留として撮影を重ねて生活していく中で理解できていきました」

 ◇30歳「なってみると楽な気持ち」

 今年2月に30歳となった奈緒さん。「なりました!しばらくは年齢のことを気にしなくてよくなりそうって思っています」と笑う。

 「30歳までのカウントダウン中は、30代の自分に向けてとか、いろいろ考えることも多かったです。なってみると楽な気持ちというか。しばらくは年齢のことを考えずに生活するのではと思います(笑)」

 20代がどんな10年間だったかという質問には「思い切り挑戦したことで、自分の今の限界値を前向きに受け止められるようになったと感じています」と答える。

 「一つのことに集中するのにどれぐらい自分が力を使うのかとか、今の自分というものを知った上で更新していく20代だったので、『ここまでできるのか』を知ることができた10年間。自分が思っていた以上にできることがこんなにあったと思える20代だったので、いろいろ挑戦してよかった」

 30代になってやってみたいことを聞くと「できれば家族がほしい」と奈緒さん。「何歳になってもいいのですが、30代のうちだったらうれしいなというか。家族ができたらより楽しいじゃないですか。そういう未来があればいいなっていうのは思います」と家族への憧れを口にする。

 本作への出演を通じたくさんの学びがあった。「自分事として置き換えたとき、刑務所に入っていなくても人は誰にも言わなかった“罪”のようなものは何かしらあるのではと思う。日々の中での後悔を“罪”と言うならば、自分にそういう後悔が生まれたとき、どう受け入れて生きていけばいいのだろうということは、この作品を通じて向き合った。『やり直せない人生はない』という言葉が、今後も自分が生きていく中で大きなお守りとして胸に刻まれる言葉だなと思いました」

 以前の取材で「29歳のうちに懸賞を当てたい」と言っていた奈緒さん。今回確認してみると「継続中です。それで言うとちょっと学びがありました」と照れ笑いを浮かべる。

 「懸賞のスタンプを集めていたのですが、ちょっと欲を出して年をまたいでもうちょっと集めて応募しようと、応募しようとしたらスタンプを持ち越せず、リニューアルされて欲しかった商品が終わってしまっていました。欲が出たときに、大丈夫かなと見つめ直すこと、このままでいいのか確認することは、すごく学びになりました(笑)」

 「連続ドラマW-30『塀の中の美容室』」は全7話で、8月22日から毎週金曜午後11時にWOWOWプライムで放送、WOWOWオンデマンドで配信。第1話は無料放送される。(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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