緊急取調室 (2025)
第7話 赤い殺意
12月4日(木)放送分
ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組を放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、9月11日放送の「しあわせな結婚」(テレビ朝日系、木曜午後9時)最終話だ。
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昨年、NHK大河ドラマ「光る君へ」で話題となった脚本家・大石静さんのオリジナル作。主演は阿部サダヲさんで、演じるのは人気弁護士・原田幸太郎。松たか子さん演じるミステリアスな魅力の美術教師・鈴木ネルラと電撃結婚した幸太郎が、妻とその家族に翻弄(ほんろう)されていく。ホームドラマでありながら、夫婦の愛を問う“マリッジ・サスペンス”と銘打っている。
前回の第8話では、ネルラの元婚約者・布勢夕人(玉置玲央さん)が死亡した15年前の事件の真相が判明。幸太郎はネルラのため真実を突き止めたが、その過程で鈴木家はバラバラに。ネルラは幸太郎を責め「あなたと出会って、全てが壊れた。私たちは出会ってはならなかったのよ」と離婚を切り出した。
前回までの展開を見ると「ネルラは、本当に幸太郎を大切に思っていたのだろうか?」と疑いたくなる。だが最終話では、ネルラが抱えていた秘密と大きな葛藤が明かされる。ネルラの想(おもい)に触れた幸太郎のとる行動が、物語のクライマックスとなる。
布勢の事件は解決しているため、サスペンス性は控えめ。むしろ「夫婦とは何か」「家族とは何か」を問いかける、ホームドラマとしての色合いが強い最終話だった。独身主義を貫いてきて、当初は鈴木家の中で“マスオさん”状態なことに居心地の悪さを感じていた幸太郎。そんな幸太郎が、ラストシーンで見せる表情に注目してほしい。
そして何より、阿部さん演じる幸太郎のかっこよさが際だった。大石さんは放送前の会見で「素敵な阿部さんを、“ふてほど”よりも素敵でセクシーな阿部さんを描きたい」と意気込んでいたが、その魅力が存分に発揮されていた。
“ファム・ファタール”のような女性と出会い、結婚し、別れを告げられた男。その選択の行方は必見だ。
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