ばけばけ:いきなり“おでこキス” 初回冒頭シーンの狙いと裏側 小泉セツの「思い出の記」がバイブルに?

連続テレビ小説「ばけばけ」第1回の一場面(C)NHK
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連続テレビ小説「ばけばけ」第1回の一場面(C)NHK

 高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)が9月29日にスタートした。初回冒頭では、松野トキ(高石さん)が夫のレフカダ・ヘブン(トミー・バストウさん)の前で怪談「耳なし芳一」を朗読し、その後、ヘブンがトキのおでこにキスをするシーンが描かれた。このシーンの裏側や狙いについて、制作統括の橋爪國臣さんと演出の村橋直樹さんに話を聞いた。

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 ◇冒頭シーン、台本では、おでこではなく「手の甲へのキス」だったが?

 演出を務めた村橋さんは、冒頭シーンについて「お笑いコンビ『阿佐ヶ谷姉妹』が演じる蛇(渡辺江里子さん)と蛙(木村美穂さん)が2人を見ていて『ああ、夜だけど、朝なのよ~』というリアクションをするセリフにつながるんですけど、手の甲に顔を近づけても、あそこまでの反応にはならないと思うので、ちゃんと顔が近づいていっているように見えることも含めて、頰でもちょっと生々しいし、ギリギリ可愛く見えるのは、おでこなのかなということで、現場で手の甲からおでこに変更しました」と明かした。

 実際に完成した映像を見て「高石さんが本気で照れていますよね。たぶん手の甲だったら、ああいう芝居にならなかったと思うんです」と感想を述べる。

「あのシーンは、実はトキちゃんも30代後半に差しかかっている時期で、結婚後もう10年近い時間がたっていて、長年連れ添った夫婦なんです。そんなに時間がたっていても、ずっと初々しいというか、新鮮な夫婦関係が続いていたんだな、ということが伝わる方がいいと思ったので、そこを狙ってああいう演出にしています」

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 そんなトキとヘブンの距離感を描くうえで、トキのモデルとなった小泉セツさんが書いた「思い出の記」を参考にしたという。

「ずっと先生と呼んでいたりもするし、べったりもせずに、それでいて愛情を感じる文章で、その本をベースに2人の関係を作ろうとしていますので、そんな2人の距離感がうまく表現できたファーストシーンになったなと思います」

 橋爪さんは「『思い出の記』を役者さんに読んでもらって、『私たちがやりたい空気感というのは、こういうことです』とお伝えしています。主題歌を担当した『ハンバート ハンバート』にも『思い出の記』をお渡ししていて、本の雰囲気を曲にしていただきました。ですから、『思い出の記』という本が実は私たちのバイブルになっています」と付け加えた。

 「『ばけばけ』は、大きく見ると2人のラブストーリーだと思うんです。それが25週ずっと続いていきますし、その宣言を冒頭のシーンで示せたと思います。ずっと見ていただけると、怪談話がたくさん出てくるんですけど、ただただ怖い話とか、面白い話というだけではなくて、2人の愛の言葉みたいに聞こえたらうれしいなと思い、怪談を話すシーンも最初に描いています」

 ◇高石あかり&トミー・バストウ、撮影を振り返って

 夫婦のほほ笑ましくいとおしい瞬間を詰めこんだような冒頭シーン。実際に演じた高石さんとバストウさんはどのように感じていたのだろうか。

 高石さんは「あのシーンはオーディションの最終審査でやったシーンに似ているんです。あの時演じたシーンをこうして本当に演じられて、トミーさんと一緒にお芝居できていることに、いろんな感情があふれて……。トミーさんとは、すごくお互いを思い合いながらお芝居できている感じがして、言葉が分からないから、どうしても心で読むしかなくって、ヘブンとトキとしてもそうですし、トミーさんと私としても、心を読み合いながらお芝居できたことがすごく印象的でした」と話す。

 バストウさんは「初めて一緒に演じるシーンだったから、めっちゃ緊張していました。でも、あかりさんのおかげで、うまくいったと思います。いつも笑ったり、応援しあったりして和気あいあいだから、リラックスしながら演じることができました」と振り返った。

 “おでこキス”について、高石さんは「本当は手にキスをする予定だったんですけど、当日急に変わったんです。あれはトミーさんと村橋さんで話して、おでこに決めたんですか?」と尋ねる。バストウさんは「夫婦だからプライベートで唇にキスするのは全然オーケーだけど、朝ドラの撮影だと無理ですよね(笑)。おでこが一番いい選択だったと思います」と返答していた。

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