ばけばけ:「自分を社長に!」 “世間知らず”三之丞の驚きの就職活動に視聴者はずっとクギヅケ状態 第29回の注目度

連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK

 高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第29回(11月6日放送)で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は午前8時13 分の74.6%だった。

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 「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

 ◇訪ねてきた錦織に、松野家はてんやわんや

 前日の第28回はラストで、物乞いとなったタエ(北川景子さん)の姿をトキ(高石さん)が目撃してしまう場面があったが、第29回はその息子の三之丞(板垣李光人さん)の近況が主に描かれた。

 テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を調べた注目度は、序盤はやや低調だったが、中盤以降は最後まで70%超を維持し、視聴者の視線をクギヅケにし続けた。

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 第29回の冒頭は、もう一度、タエ(北川景子さん)の物乞い姿をトキが目撃した場面から。声をかけることができず逃げ帰ると、その夜、ヘブン(トミー・バストウさん)の女中が決まらず焦る錦織(吉沢亮さん)が、再びトキを訪ねてくる。すでにヘブンの女中になることを断っているトキは、改めて錦織に「できません」と伝える。

 ちなみに序盤で一度“山”ができた午前8時2分(69.1%)は、錦織が松野家を訪ねてくる場面。トキが対応するのをためらっていると、母のフミ(池脇千鶴さん)が「まさかとは思うが、トキのええ人なんじゃないの?」と言ったものだから、父親の司之介(岡部たかしさん)らも色めき立つ。トキが実際に錦織に会うまでの、松野家らしいそんな会話が展開された場面で、注目度も上昇した。

 ◇三之丞の世間知らずっぷりに、高い注目度が続く

 中盤の午前8時6分で71.6%と注目度を70%台に乗せると、ドラマの最後までほぼ横ばい状態が続いた。午前8時6分は、主題歌が流れるオープニング明けで、司之介が働く牛乳屋に、三之丞が仕事を求めて訪ねてくる場面だ。三之丞は「松江で雨清水と言えば知らぬ者はおらぬ。社長となるにはふさわしい格を備えております」と話し、自分を社長にしてほしいと直訴する。驚くほどの世間知らずっぷりだ

 三之丞は別の店でも、同じように自分を社長にしてほしいと頼む。当然、どこに行っても相手になど、されない。タエの元に帰った三之丞は、何か買ってきてほしいと頼まれ、もう一度松江の街へ。そこで、シジミを売り歩いているトキとばったり再会する。この場面が第29回のラストシーンだ。

 中盤から終盤で特に注目度が高まるのは2回。どちらもほぼ同程度の注目度になった。

 最初の午前8時7分台(74.3%)は、三之丞が牛乳屋の社長に用件を語り始めたあたりだ。働かせてほしいという三之丞に、社長が「実際、どげなことができそうですかね?」と聞くと、三之丞は「人を使うこと」と答え、父親の織物工場で社長を代わりに務めていたことがあると説明する。

 72.4%にやや下がった、続く午前8時8分台は、社長が「それはつまり、うちでも社長をお望みということでしょうか?」と尋ねると、「そう受け取っていただけましたら」と三之丞は頭を下げる。

 「もし、雨清水さまが社長となりますと、今社長をやっております私はどげんすれば」。切れそうになるのを必死に抑えて牛乳屋の社長が尋ねると、三之丞は「それは、おいおい考えましょう」。ここまで来たらもう笑うしかない。三之丞の世間知らずっぷりで、涙が出そうになるくらいの“喜劇”になっていた。

 次のピークは、最高値74.6%を記録した午前8時13分。タエのため、ふかしいもを買った三之丞が、目の前にトキがいることに気付く。三之丞は固まった表情を緩め、笑顔を作ってトキの方に進む。「久しぶり」「お久しぶりでございます」。2人があいさつを交わすあたりまでが13分台だ。

 続く14分台でも、物語は大きく進まない。トキがとうとう、タエの物乞い姿を目撃したことを伝えたところで第29回は終了した。この先、どう展開していくのか? 期待度とともに、注目度も上昇したということだろう。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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