黒牢城:本木雅弘×菅田将暉の演技合戦 黒沢清監督が挑む500年前の密室心理戦の裏側 京都での撮影リポート&メーキング写真解禁

映画「黒牢城」のメーキング写真 (C)米澤穂信/KADOKAWA (C)2026映画「黒牢城」製作委員会
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映画「黒牢城」のメーキング写真 (C)米澤穂信/KADOKAWA (C)2026映画「黒牢城」製作委員会

 米澤穂信さんの傑作ミステリーを、本木雅弘さん主演で映画化した「黒牢城」(黒沢清監督)が6月19日に公開される。孤立無援の城主・荒木村重(本木さん)と幽閉された天才軍師・黒田官兵衛(菅田将暉さん)の演技合戦や、黒沢監督が挑んだ約500年前の密室心理戦の裏側を捉えた京都での撮影現場リポートとメーキング写真が5月8日、解禁された。

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 「黒牢城」(英題:THE SAMURAI AND THE PRISONER)の原作(角川文庫/KADOKAWA)は2021年に刊行され、第166回直木賞と第12回山田風太郎賞のダブル受賞など数々の賞に輝いた人気作。戦国時代の有岡城が舞台。君主・荒木村重(本木さん)は暴虐な織田信長のやり方に反発し、籠城作戦を決行するが、怪事件が次々と起こる。容疑者は密室と化した城内に居る家臣や身内の誰か……。誰もが疑心暗鬼になっていく中で、村重は牢屋に囚われた危険な天才軍師・黒田官兵衛(菅田さん)と共に事件の解決に挑む……という戦国系心理ミステリーだ。黒沢監督にとってキャリア初の時代劇となる。5月12~23日(現地時間)に仏カンヌで開催される第79回カンヌ国際映画祭のカンヌ・プレミア部門に正式出品が決まっている。

 ◇歴史的建造物を巡り1カ月半にわたって大規模ロケ

 500年間解き明かされることのない“日本史最大級の謎”に挑む今作は、2025年10月にクランクイン。時代劇の本場・京都太秦の松竹京都撮影所をはじめ、世界遺産の姫路城ほか、明石城、篠山城、伊賀上野城、彦根城、さらに東福寺、萬福寺など、国宝や重要文化財に指定される多くの歴史的建造物を巡り、約1カ月半にわたり大規模ロケが行われた。

 解禁されたメーキング写真では、集中して撮影に挑む本木さんと菅田さんの真剣な表情や、黒沢監督と熱心に段取りを確認するオダギリジョーさん、Snow Man宮舘涼太さんらの姿、本木さんと黒沢監督が撮影の合間に談笑する様子など、黒沢組ならではの結束力の強さが垣間見える一瞬が収められている。

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 ◇本木雅弘と吉高由里子、静寂を切り裂くクランクイン

 本木さんがクランクインとなった昨年10月1日。松竹京都撮影所では、村重(本木さん)と妻の千代保(吉高由里子さん)が、有岡城の一室で語らうシーンからスタートした。穏やかな会話も束の間、信長へと寝返った父を持つ少年、自念(槙木悠人さん)の乱入によって静寂が破られる。台本の4ページに及ぶ重要なシーンで、黒沢監督が本木さんと吉高さんに立ち位置や動線を細かく指示。数回のリハーサルの後、2台のカメラを用いて長回しで撮影されると、現場の空気は一変し、息詰まるような緊張感に包まれたという。

 本木さんと吉高さんの芝居を見て、黒沢監督は熟練味あふれる演出で自然な感情を引き出し、テンポよく撮影を進めていく。原作の持つ普遍的なテーマや謎解きの面白さに惹(ひ)かれ、「近年読んだ小説の中で最も面白く、自分の手で映画化したいと思いました」と初の時代劇作品に挑んだ黒沢監督は、撮影初日は内心、不安を抱えていたといい、「どの現場でも初日はいつもそうです。事前に考えた演出プランが本当に成立しているのか、俳優が生身の人間として心身ともに演じることが可能なのか、それはできないと言われたりしないか、自分は俳優ではないのでいつも不安なのです」と後に当時の胸中を明かしている。

 翌日以降、現場には村重を支える“クセ者”ぞろいの家臣たちが続々と集結。忠義を尽くす郡十右衛門役のオダギリさん、乾助三郎役の宮舘さん、荒木久左衛門役の青木崇高さんらが参加し、第一の事件「自念の密室殺人」の検証シーンでは、入念な準備で臨む黒沢組スタッフと、時折笑顔で言葉を交わしつつも、役へと深く潜り込むキャストの姿があり、現場全体に心地よい緊張感と充実感が漂っていた。

 ◇黒沢監督「デビュー作のような緊張と興奮だった」

 11月に入り、現場に菅田さんが合流。松竹京都撮影所ならではの「地面が土のまま」に残る第6スタジオに建てられた広大かつ凹凸が激しい地下牢のセットで、村重と官兵衛の対峙(たいじ)シーン撮影された。

 このシーンは“順撮り”で、本音と建前が入り混じる膨大なせりふの応酬が展開される。黒沢監督がこだわり抜く、長回しによる撮影で空気が張り詰める中、2人の論戦は、監督自身にとっても確かな手応えとなった。「本木さんと菅田さんの丁々発止のやり取り、楽しかったです。物語上の村重と官兵衛の関係と同じように、どちらかが圧倒したり、反撃したり。お二人の演技合戦は見ものだと思います」と自信をのぞかせる。

 11月半ばにクランクアップ。撮影を終え、本木さんは「黒沢監督が思い描いているものに近づくために、スタッフの皆さんが思いを込めて、技術を尽くして、映像に焼き付けようとしている。ある種の緊張感と意義深さをずっと感じていました」と語り、「振り返ったら、あの体験は奇跡だったんじゃないかと思うような、京都の地、そして黒沢さんの元でしか生まれ得ない貴重な時間を過ごさせていただきました」と感慨深げにコメント。

 菅田さんも、「知と血と地にまみれ、脳みそフル稼働の撮影でした。対峙した時の荒木村重役の本木さんの瞳が忘れられません」と手応えを語り、「ほとんど村重としか関わりがなかったので、僕が一番映画を楽しめると思います。完成を楽しみにしています」と笑顔を見せたという。

 黒沢監督は「初めてのことが多く、何が正しいのかを追求しながらの撮影は、日々大変でしたが新鮮でした。この年齢になりましたけれどもデビュー作のような緊張と興奮と目新しさがありました」と充実した表情を見せたという。

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