伊集院静:提唱で電子書籍レーベル誕生 第1弾「なぎさホテル」配信

 作家の伊集院静さんの提唱で誕生した電子書籍レーベル「デジタルブックファクトリー」の設立記者会見が17日東京都内であり、レーベル第1弾として伊集院さんと歌手の井上陽水さん、写真家の宮澤正明さんが協力した電子小説「なぎさホテル」の配信が同日から始まった。会見で伊集院さんは「電子書籍でもうけた人は正直いない。でも大事なのは誰が最初にやるか。だから(電子書籍の会社を昨年に設立した)村上(龍)さんは立派」と電子書籍挑戦の意義を強調した。

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 伊集院さんが電子書籍の可能性に期待を寄せていることを知った宮澤さんが、自身のホームページを運営しているコンテンツ配信事業のエムアップ(東京都渋谷区)を紹介したのがきっかけ。「デジタルブックファクトリー」では、活字と映像、音楽、写真の特性を生かし、作家や写真家など各分野の一流のスペシャリストを集め、複数で分配できるよう印税も40~55%と既存の書籍の約10%を上回る設定にする。運営はエムアップが担当し、電子化した紙書籍の出版も受け付ける。

 伊集院さんは電子書籍挑戦への思いを語るとともに、JASRAC(日本音楽著作権協会)に7%を支払っていることを明かしながら「ああいうところがダメ。7%にせず1~2%にすれば(今後の)広がりがあるのに。未来が見えないね」と皮肉った。

 「なぎさホテル」は、神奈川・湘南の逗子海岸に実在したホテルが舞台で、多額の借金を抱えた若者が、偶然立ち寄ったホテルで作家としてスタートを切ろうとし、温かく見守る周囲の人々との交流を描く。作家としてデビューするまで苦しんだ若き日の伊集院さんがモデルで、85年に急性骨髄性白血病で亡くなった前妻の夏目雅子さんとの当時の思い出に触れたインタビュー映像も収録している。主題歌は井上さんの「TWIN SHADOW」。iPhoneとiPad向けで価格は1000円。アンドロイド端末向けにも展開予定。

 同レーベルでは今後、俳優の早乙女太一さんの女形を収録した動画付きのデジタル写真集「KABUKI」(3月配信予定)や、SKE48の写真集(時期未定)などが登場する。年10タイトルのペースで配信する予定。(毎日新聞デジタル)

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