話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、大国の侵略にさらされた小国の怠け者王子の奮闘を描いた「ミスマルカ興国物語」(林トモアキ著、ともぞ画)です。角川書店スニーカー文庫編集部の上野新さんに作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
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−−この作品の魅力は?
強大な力を持つ魔人帝国に狙われた小国ミスマルカ。もはや風前のともしびとなった国を任されたのは、民衆の人気はあるものの、剣も魔法も使えないぐーたら王子のマヒロ。皆が絶望するなか、マヒロは知略をもって立ち向かう−−という一見王道の物語ですが、その逆転の仕方は他に類を見ないものです。そしてそれはシリーズ全体を通すテーマとなっており、毎回王子がどんな逆転劇を見せるかが読みどころです。コメディー要素もふんだんに盛り込まれているので、まずは気軽に手にとっていただきたいですね。
−−作品が生まれたきっかけは?
実は前担当の人間と構想を練っていたみたいで、当時別シリーズの「戦闘城塞マスラヲ」のみの担当をしていた私には、いきなり冒頭の第1章が渡されました。読んでみて、とにかく先が気になる内容だったので、「これはいけますよ!」と言ったと思います。しばらくして私が林トモアキさんの全担当となり、上がってきた第1稿は深夜1時から読み始めて、ページをめくる手がとまらず、深夜4時に読了。クライマックスでは鳥肌が立つほど興奮したのを今でも覚えています。
−−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか?
林さんはとてもゲームが好きで、他にもマンガやアニメの雑談をするのですが、非常に鋭い視点、独自の感性で読み解いていて、私も勉強させられることが多いです。ともぞさんは当初別のファンタジー作品のイラストを手がけており、ファンタジー性と現代性のミックス感が、この作品にも合うと感じてお願いしました。クオリティーが高く、各巻のカラーページのトップを飾る紋章はともぞさんが描き起こしたもので、優れたデザイン性に毎回驚かされます。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
やはり、一番はじめに原稿を読めることですね。実は林さんはプロットを作らず、先の展開もあまり教えてくれないので、読者の方よりも情報を持たない状態で原稿を読むことになります。私を最初の“読者”と考えていて、その新鮮な反応を知りたいようです。これは、シリーズものを担当する編集者としては非常に怖いことでもあるのですが、毎回強烈に引きこまれる内容と、しっかりとした仕上がりの構成なので、脱帽させられてしまいます。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
最新刊の第8巻より、第2部がスタートしました。マヒロは新しい舞台に立ち、これまでとは逆の立場におかれます。より困難な道のりですが、彼がいかなる奮闘をするのか、楽しんでください。私も楽しみます(笑い)。また、林さんの別シリーズ「レイセン」も絶好調で展開しておりますので、こちらもぜひ! 林さんの全作品はすべて同じ世界観の上で成り立っていますので、他のシリーズ以外も読んでみてください。いろいろと発見があって、より深く楽しめますよ!
角川書店 スニーカー文庫編集部 上野新
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