薬屋のひとりごと
第33話 先帝
3月7日(金)放送分
「大人が読めるマンガ」をコンセプトに、マンガ界に「劇画(げきが)」という革命を起こしたマンガ家・辰巳ヨシヒロさんの半生とその功績にスポットを当てた番組「劇画ゴッドファーザー ~マンガに革命を起こした男~」が、WOWOWの「ノンフィクションW」枠で16日に放送される。
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辰巳さんは、昭和34(1959)年に「ゴルゴ13」のさいとう・たかをさんや「堕靡泥(ダビデ)の星」の佐藤まさあきさんらとともに「劇画工房」を設立し、スリリングでハードボイルドな世界観とリアリティーとテンポ感のある表現描写を持ち込んだ新しいマンガ「劇画」を生み出した。辰巳さんが自らの劇画人生を描いた作品「劇画漂流」は、09年に米国で最も権威あるコミック大賞「アイズナー・アワード 2010」で2冠を獲得。さらに作品が海外で映画化が決まるなど、現代になって世界的に再評価されている。番組では「劇画」とはどのようなものだったのか、 辰巳さんの半生を軸に、劇画の定義から一大ブームと衰退、現代に受け継がれるDNAなど、その功績を追う。
収録の合間に取材に応じた辰巳さんは「今になって劇画が海外で評価されているというのが面白いということで番組を作るというので、最初は(撮影は)2、3時間で終わると思っていた」と長時間に及ぶ収録に戸惑いを見せていたが、「担当さんの熱意に負けました。ドキュメンタリーは深みにはまりやすい。何とか終わりが見えてきたから安心してますよ」と笑った。
清く正しい子どものためのものだったマンガを、大人が読める“劇画”にした経緯について、辰巳さんは「子どものために、読者のためにマンガを描く人がいるが、僕は今も昔も自分のために描いている。読者にも成長してほしいと思った。描いている自分が成長して、子ども向けのマンガではなく、自分が読んで面白いものを目指した」と語った。子ども向けの要素を排除した理由については「自分を含む(年齢の)高い読者層を目指して残酷な描写もしたが、読者の理解力が高ければ変な影響は与えないと思った。『劇画』とは子どもには見せられない、普通のマンガではないということを、貸本屋の違う棚に入れて区別してほしいと思って作った言葉なんです」と明かした。
現在のマンガの状況については「海外でも世代交代で新しいマンガ家が出てくる過渡期にある。今はまだないが、将来はフランスや東南アジアなどで、いい作品が出てくるのではないか。日本のマンガもそろそろ足元をすくわれますよ」と警鐘を鳴らし、「今、劇画がもてはやされているのが分からないが、日本でも理解されないと思っていた僕の自伝的マンガが賞を取ったのには何かあるんじゃないか。古いマンガを掘り起こしてみて、新しいマンガの足がかりにしてほしい。新しいマンガの開拓を楽しみにしています」と後輩たちにエールを送っていた。番組は16日深夜1時~放送。(毎日新聞デジタル)
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