ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、テレビアニメ化もされた大ヒット学園ファンタジー「鋼殻のレギオス」(雨木シュウスケ著、深遊画)です。富士見書房文芸グループファンタジア文庫編集部の加藤美沙さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
ファンタジア文庫の主流はアクションファンタジーと現代ラブコメに分けられると思いますが、「レギオス」は前者に連なる系譜で、連綿と続いてきたレーベルの王道路線のシリーズです。「ナウシカ」のような、かつての文明が滅び異形が跋扈(ばっこ)する荒廃した世界で、異能力を駆使しつつ少年少女が戦う。設立当時のレーベルではSF的なガジェットとファンタジー要素がミックスされた本作は目新しく、新しい手ざわりの作品でした。過去の自分を封印した少年が少女と出会い、自らのアイデンティティーを確立していく成長物語としても楽しめるし、ボーイ・ミーツ・ガールとしての要素も、アクション要素もある、さまざまな楽しみ方ができるシリーズだと思います。
−−作品が生まれたきっかけは?
デビュー作が完結し、2作目となるシリーズを作り上げるにあたって生まれたのが本シリーズです。2作目というのはどの作家さんもたいてい苦労されるのですが、「レギオス」の基となるプロットも、出来上がるまでに約1年を要し、何本ものプロットが出ては練り直し、出ては練り直しで、最後の方は雨木さんいわく「うぎゃー!」となったと聞いております。プロットが固まってからは、メーンヒロインを複数用意して選択肢の幅を広げること、大人を出さないことなどいくつかの決まりごとを決めつつ第一稿が出来上がりました。
−−魅力的なヒロインが多く登場しますが、読者の一番人気は誰でしょう? また担当者個人としてはどのキャラクターに引かれますか。
シリーズを始めるにあたって、ヒロインを限定しないというやり方をとってきましたが、男性人気はフェリ、女性読者はニーナ派やリーリン派が多いかも。イラストレーターの深遊さんと電話での打ち合わせ時にヒロインについてたまに語り合うのですが、ここにきてその回数が増えました(笑い)。
ニーナには女の子としての幸せも手に入れてもらいたいし、銀髪美少女は報われないというジンクスをフェリにぜひ打ち破ってほしい、そして重い運命を背負ってしまったリーリンがもう一度心から笑える日が来てほしい……など、担当としてはどのヒロインもそれぞれ幸せになってくれることを願います!
−−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか。
著者の雨木さんは、責任感が強く我慢強い、とても大人な方です。こちらのむちゃぶりにもさまざまなアイデアを出してくださるなど、作品に対する情熱はいうまでもなく、どんなに忙しい時期も締め切りを決して破らない、プロ根性にも感服させられます。実は“レギオス一いい男”なんじゃないか、という内面的な意味で、リバースに似ているかもしれません。イラストレーターの深遊さんもとても謙虚な方で、こちらが恐縮してしまうほど。イラストを取りに行くとスイーツを手土産にくださったりと大変気配り屋さんで、お酒がお好きで、かつとてもお強いです(笑い)。お二人とも、こちらのむちゃなお願いにも応えてくださる、ご多忙にもかかわらず締め切りはきっちり守ってくださる……こんなコンビはめったにありません。奇跡です。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
やはり、原稿とイラストが上がってきた瞬間です! あとは読者のみなさんの反応、作品や世界の謎についての議論や、キャラクターについての熱い感想などを目の当たりにしたときも。これだけ多くの方に支えられている作品にかかわれることはそうあることではありません。コミカライズ、アニメ化と作品世界が広がるということはワクワクする半面、携わる場所や人数が増える分、複雑な問題も生まれますが、本作については雨木さん、深遊さんのお二方に編集者として助けられてばかりです。大変なのはなんといってもお二人です。
−−今後の展開と、読者へ一言お願いします。
本編はクライマックスに向けて動き出しましたが、物語の始まりは受動的だったレイフォンという主人公が、自らの意思で主体的に生きることを選ぶ。今後は迷いが吹っ切れたレイフォンのカッコいい姿をお届けできると思います! 幼なじみのリーリンなのか、目指すべき道を示してくれたニーナなのか、同じものを見ているツンデレのフェリなのか……正ヒロインの座は誰になるのかも期待していただければと思います。また、本編キャラも多数登場する「聖戦のレギオス」の文庫化も始まっています。来年1月までレギオスシリーズはほぼ毎月刊行し、書き下ろしショーショート付きのポストカードも封入されているので、ぜひ入手していただければと思います。
富士見書房 文芸グループファンタジア文庫編集部 加藤美沙
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