注目映画紹介:「ミッション:8ミニッツ」 事件8分前に戻り犯人を捜し出すSFアクション

「ミッション:8ミニッツ」の一場面 (C)2011 Summit Entertainment,LLC.All rights reserved.
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「ミッション:8ミニッツ」の一場面 (C)2011 Summit Entertainment,LLC.All rights reserved.

 「ブロークバック・マウンテン」(05年)でアカデミー賞助演男優賞候補となり、「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」(10年)ではアクションに挑戦したジェイク・ギレンホールさん主演の映画「ミッション:8ミニッツ」が28日に封切られた。ギレンホールさんが演じるのは、列車が爆破される直前の乗客の意識に潜り込み、爆弾魔を突きとめるという特殊任務を与えられた主人公コルター・スティーブンス大尉。09年の「月に囚われた男」で監督デビューを果たし、英アカデミー賞など数々の新人監督賞を受けたダンカン・ジョーンズさんの2作目の作品だ。

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 ジョーンズ監督の前作は宇宙船に乗った主人公が唯一の出演者という稀有(けう)なSF作品だった。今作は、列車内とコルターが任務の際必要となるカプセル(ポッド)と、コルターに指示を出す司令官がいる場所の3カ所が主たる舞台だ。それぞれの場所が閉鎖的な点は前作と変わらないが、3カ所を行き来することで空間的広がりが生まれ、その分、作品全体の躍動感が増した。加えて、爆発シーンがあったり、犯人捜しのためのアクション場面があったりと、前作に比べ娯楽色が強まっている。だが背景には、個人の命と多数の命、いずれを尊重させるかという究極のテーマが流れており、単なるSFアクションにとどまらない内容になっている。

 コルターは、事件発生の8分前に戻り、そのたびに情報を集め、少しずつ犯人を特定していく。その過程はまるでジグゾーパズルのピースがハマっていくような感覚だ。ただ、この類の作品は深く考え始めると「あれはどういうこと? あの意味は?」と観客の間で議論が起こりがちだ。今作もだが、ジョーンズ監督は「僕の中では、一つの解釈しかありえない」と言い切り、また、いたるところに真実を突き止めるためのヒントをちりばめているので、それを念頭に、映画を見ることをおすすめする。28日からTOHOシネマズ有楽座(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル) 

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