乙葉しおりの朗読倶楽部:第48回 テニスンの「国王牧歌」世界で愛される英雄

iPhoneアプリ「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさん
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iPhoneアプリ「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第48回はアルフレッド・テニスンの「国王牧歌~アーサー王の誕生~」だ。

ウナギノボリ

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 12月、師走ですね。

 「師走」の語源は「普段どっしりと構えているようなお師匠様でも、年末の忙しい時期には東奔西走する」というような説が有力ですが、私たち朗読倶楽部のお師匠様こと癸生川先生はどうかというと、いつも通りな感じだったりします。

 先生は「白鳥は優雅に泳いでいるように見えて水面下では激しく足を動かしている、これは私にもあてはまる」とおっしゃいますが、部長さんいわく、これは漫画「巨人の星」で有名になった創作のお話で、みかえさんいわく、「本物の白鳥はそれほど懸命に足を動かしてるわけではない」とか。

 そのお話を聞いた先生は、「ああ忙しい忙しい」とおっしゃってどこかへ出かけてしまいました……。

 さて、今回は一つ、ご報告させていただきたいことがあります。

 昨年の12月3日からこのコラムを始めさせていただいて以来……なんと、今回で丸1年になりました!(*^^*)

 今回で48回目……今だから言ってしまいますけど、最初は10回も続けさせてもらえるかどうかと思っていたので、本当にびっくりです。

 ここまで続いたのはひとえに皆さんのおかげで、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 これからもがんばりますので、今後も「乙葉しおりの朗読倶楽部」をよろしくお願いいたします。

 ではここで、朗読倶楽部のお話……2度目の大会出場の思い出、最終回です。

 大会の結果は、決勝には進めなかったものの努力賞をいただいて、悲願だった入賞を果たすことができました。

 私たちが大会に参加するのは実績作りのため……今までそう思っていました。

 文芸部に入りたかったみかえさんと、声優部を作りたいと思っていた部長さん。

 私なんか、やりたいことも分からなくて、誘われるまま、流されるままに参加を決めて……。

 そんな3人の集まった朗読倶楽部。

 でも、部長さんの一言で、みんな朗読が大好きになっていることに改めて気付いたんです。

 だから大会の舞台でも迷うことなく、自分でも驚くくらい落ち着いて朗読ができました。

 まだまだつたない私ですけど、楽しく読んで、聴いてくれる人が笑顔になってくれれば、こんなにすてきなことはないです。

 ……大会が閉会した後、あの他校の出場者さんにもう一度会うことができた私は、このことを素直に伝えました。

 彼女は複雑な表情をして黙って立ち去ってしまったのですが、その前に自己紹介しておけたらよかったなって、姿が見えなくなってしまった後で気がつきました。

 部長さんが私の言葉に「なんだか最終回っぽい」と感想を漏らしていましたけど、もちろんここでお話が終わっちゃったりはしませんよ。

 彼女とは、再び出会うことになるのですが……それはまた別のお話で。

 ……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回からまた、新しいお話になりますのでよろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 アルフレッド・テニスン「国王牧歌~アーサー王の誕生~」

 中世ヨーロッパ伝説の人物「アーサー王」。

 石に刺さった、王にしか抜けない剣を抜いてみせるエピソードは有名ですよね。

 彼を題材にした物語は古くは6世紀から登場していますが、21世紀の今になっても新しい作品が発表されていて、この英雄譚がいかに世界中で愛されているかということがよくわかります。

 そんな数多くのアーサー王物語の中でも有名なのが、15世紀にイギリスのトマス・マロリーさんが発表した「アーサー王の死」。

 そしてこの作品を下敷きにして、19世紀にイギリスの詩人アルフレッド・テニスンさんが詩編としたものが、今回ご紹介する「国王牧歌」です。

 この作品は1856年から1885年まで実に30年近くをかけて、追加エピソードの挿入や修正、編集を加えられながら出版されました。

 「The Coming of Arthur(アーサー王の誕生)」は、「国王牧歌」合計12の詩編の中で最初に位置するエピソードですが、完成したのは1869年だそうですから、執筆順としては後半のものとなります。

 世界一美しい王女グィネヴィア姫に結婚を申し込んだブリテン島の王アーサー。

 王女の父でカメリアドの王レオデグランは、争いあっていた各国の王を従え、カメリアドの荒廃した大地をも救った救世主に恩義を感じつつも、ある疑惑のために彼に不信感を隠すことができませんでした。

 それは、彼アーサー王が先王ウーゼルの子にあらず、正当な王位を持たない者だといううわさだったのですが……。

 実はこのお話、全てを日本語に訳した本が出版されていないので、読もうと思ったら原書で入手することになってしまいます。

 私の場合は同じ朗読倶楽部のメンバーで、帰国生徒のみかえさんが翻訳してくれた文章で読むことができましたが、インターネット上で翻訳してくださっている方もいらっしゃるようなので、ぜひ一度探して読んでみてください(*^^*)

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして配信している。1話約20分で250円。

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