夢枕獏:小説「翁」3形態で同時発売 コメント機能に「楽しそうだけど怖い」

会見に登場した夢枕獏さん(左)と角川歴彦会長
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会見に登場した夢枕獏さん(左)と角川歴彦会長

 「陰陽師」などで人気の作家・夢枕獏さん(60)がこのほど、東京都内で開かれた小説「秘帖・源氏物語 翁−OKINA」の発売記念会見に登場した。同書は出版元の角川書店では初の単行本と文庫、電子書籍の3形態同時発売となる作品で、ニコニコ動画のサービス「ニコニコ静画」で小説のページで読者が直接コメントを書き込める機能などが紹介された。夢枕さんは「(コメントが書き込まれるから)楽しそうだけど怖い。腹が立つことも書かれるだろうけど、そこは覚悟したい」と話していた。

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 「翁」は、紫式部の「源氏物語」の中でも有名な「葵の巻」をアレンジしており、光源氏の妻、葵の上に生霊(いきりょう)が取り付くが、並の陰陽師では歯がたたず、光源氏は外法の陰陽師・蘆屋道満の元を訪ねる……というストーリー。「ニコニコ静画」のサービスは、マンガや小説などを見ながら、コメントを投稿して意見が共有でき、電子書籍の購入者が、アクセスすれば小説の文にコメントを付ける形で意見や感想などの書き込みができる。

 夢枕さんは「源氏物語は、みんなは恋愛物語と思っているかもしれないが、物の怪(もののけ)の話。根本的なアイデアを誰かからいただいて書くのは初めてで、職人魂が刺激され、高揚しながら1年で書き上げた」と自信を見せた。夢枕さんと共に会見に登場した角川書店の角川歴彦会長は「電子書籍と紙は食い合わない。最後は泣けるので、ぜひ読んでもらいたい」とアピールした。

 単行本は四六判(304ページ)で1575円、文庫本(320ページ)は620円。電子書籍は600円(iPhoneとiPad)と609円(アンドロイド)で、角川グループの電子書籍アプリ「BOOK☆WALKER」で扱う。いずれも2日から販売する。(毎日新聞デジタル)

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