注目映画紹介:「サルトルとボーヴォワール」女性としての生き方に悩むボーボワールを中心に描く

「サルトルのボーヴォワール 哲学と愛」の一場面 (C)PAMPA PRODUCTION−FUGITIVE PRODUCTIONS−MMVI
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「サルトルのボーヴォワール 哲学と愛」の一場面 (C)PAMPA PRODUCTION−FUGITIVE PRODUCTIONS−MMVI

 「実存主義」のサルトルと「第二の性」のボーボワールの2人の物語を描いた映画「サルトルとボーヴォワール 哲学と愛」(イラン・デュラン=コーエン監督)が公開中だ。連続ドラマを短くまとめて見たような印象で、「実存主義」が分からなくても見ることができる構成だ。戦前から戦後にかけてのパリのカフェの喧騒(けんそう)も楽しめる。原題は「フロールの恋人たち」。ちなみにフロールとはカフェの名前である。

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 1929年、パリ・ソルボンヌ大学に通うボーボワール(アナ・ムグラリスさん)は、学内の天才サルトル(ロラン・ドイチェさん)に話し掛けられた。サルトルはボーボワールを「理想の女性」といい、ボーボワールはサルトルに自分と似たものを感じていく。サルトルはボーボワールが訪れている田舎に足を運ぶなど熱烈だった。ボーボワールは自分の母親が父親に召し使いのように使われていることに疑問を感じており、サルトルが提唱する“自由恋愛”に母の結婚にはない魅力を感じた。しかし、それは苦悩の始まりだった。大学卒業後、別の土地に教師として赴任したサルトルの手紙に、赴任先のベルリンで関係を持った少女のことが書かれてあった……という展開。

 最初に2人の物語といったが、厳密にいうとこの映画の主人公はボーボワールだ。ボーボワールがサルトルからどのような影響を受けて、2人の関係がどうなっていくのか。母親を反面教師にしながら、女性としての生き方そのものに悩んでいるボーボワールの成長が描かれていく。映画の中では、サルトルは常に要領がよく、ボーボワールは心の中の自分に問いかけ、揺れている。タイトルは「ボーヴォワールとサルトル~」にしてほしかった……。ちなみにボーボワール役のムグラリスさんは、なぜかこれまでも、ココ・シャネルやジュリエット・グレコなど有名人を演じることの多い美しい女優だ。11月26日からユーロスペース(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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