世界文学史上最高峰の恋愛小説とうたわれる「源氏物語」を、作者の紫式部がどのような経緯で執筆することになったのか。そこに秘められた式部の思いを、「源氏物語」の主人公・光源氏と姫君たちのロマンスとともに描いていく「源氏物語 千年の謎」が全国で公開中だ。光源氏を演じるのは生田斗真さん、紫式部に中谷美紀さん。脚本も担当する高山由紀子さんの「源氏物語 悲しみの皇子」(角川書店)を原作に、映画「愛の流刑地」の鶴橋康夫監督が映像化した。
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平安時代。時の権力者、藤原道長(東山紀之さん)は、一条天皇(東儀秀樹さん)の心を、娘・彰子(蓮佛美沙子さん)に向かせるために、紫式部(中谷さん)に物語を書くよう命じる。式部は、光源氏(生田さん)という若者を主人公に物語を書き始めるが、物語の中の源氏は、義理の母・藤壺(真木よう子さん)への思いを胸に秘めたまま、数々の女性と恋に落ちていく……という展開。
鶴橋監督の前作「愛の流刑地」(06年)は、官能的なシーンが話題になったが、今作は打って変わって、はかなげで美しく、かつ神秘的に描くことに終始している。源氏と式部を取り巻く女性たちも、真木よう子さん、多部未華子さん、芦名星さん、田中麗奈さんなど清楚(せいそ)なイメージの女優がそろい、ドロドロしたイメージはない。そんな中で異彩を放っていたのは、現実の世界(式部の世界)と物語の世界(源氏の世界)を行き来する陰陽師・安倍晴明役の窪塚洋介さんと、物語の世界の中の桐壺帝(榎本孝明さん)の第一妃、弘徽殿女御役の室井滋さん。とりわけ出演場面は少ないが、室井さんが与えるインパクトは強い。10日からTOHOシネマズ 日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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