「悪人」で知られる人気作家、吉田修一さんの青春小説「横道世之介」(毎日新聞社)が主演・高良健吾さん、ヒロインに吉高由里子さんで実写映画化され、13年に公開されることが9日、明らかになった。高良さんと吉高さんの共演は08年の映画「蛇にピアス」(蜷川幸雄監督)以来、5年ぶりとなる。3月下旬にクランクインするが、高良さんは「久しぶりに会う友だちみたいに再会できたらうれしいです。吉高さん自身がコメディー映画のように面白い方ですし、しっかりしているので、現場を引っ張ってくれると思います」と喜んでおり、吉高さんは「高良さんと共演させていただくのは約5年ぶりで19歳のころ、ご一緒しました。今回すごく楽しみでもあり、あのころから自分が成長していなかったらどうしようという不安もあります」とコメントを寄せている。
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「横道世之介」は、吉田さんが08年4月1日~09年3月31日に毎日新聞夕刊で連載。09年9月に単行本化され、10年の本屋大賞3位と第23回柴田錬三郎賞を受賞した。主人公の横道世之介(高良さん)は長崎の港町に生まれ、18歳で大学進学のために上京した。嫌みのないずうずうしさと他人の頼みは断れないお人よしで、人がなぜか寄ってくるという性格だ。そんな世之介はふとしたきっかけで、待ち合わせに運転手付きの黒塗りの車で現れるような超お嬢様の与謝野祥子(吉高さん)と交際することになる……というストーリー。80年代後半に青春を送った若者たちの日常やその後をユーモアたっぷりに温かく、優しく描く。
映画化にあたっては「南極料理人」や「キツツキと雨」で知られる沖田修一監督がメガホンをとり、沖田監督とは中学・高校の同級生という劇団「五反田団」を主宰する劇作家で小説家の前田司郎さんとともに脚本を手がける。
沖田監督の「南極料理人」「キツツキと雨」の両作に出演していた高良さんの主演のキャスティングについて、沖田監督は「九州(熊本県)出身なんですよね、高良君って。だからもう(世之介は)高良君じゃんと(笑い)。本人の感じが世之介に近いというのが、なんかうっすらとあって」と即決だったことを明かした。初めて起用する吉高さんについては「祥子ってすごく難しい役どころだと思うので。言葉遣いも(お嬢様口調で)やっぱり特徴あるし、吉高さんでイメージしやすいというか。他の作品に出てらっしゃるのを見て魅力的だし、祥子でもそういうふうに(魅力的に)なったらいいなと」と監督のイメージとぴったり合ったようだ。
脚本を読んで、高良さんは「とにかく面白い! 世之介が大好きになりましたし、なにがなんでも世之介役をやりたいと思いました。沖田監督の作品は、脚本を読んだ以上に現場でさらに面白くなるので、楽しみでしかたないです」といい、撮影に入るに当たって「世之介でいられることを楽しむぞ!という感じです。特に意識をしなくても、自然に演じられると思えるくらい、世之介はとても自分に近い役。いつも汗をかいている世之介ですが、汗のメークをしなくてもできます!」と意気込みを語っている。
吉高さんは「お芝居に対する気持ちや作品に関わる方たちの思い、自分の前進につながる大事な作品にしたいです。一生懸命尽力します」と意気込み、高良さんに「共演という形で再会するのはとてもうれしく思います。信頼し合えるような関係性を作って、いい作品を残したいです」とメッセージを送っている。
映画は、3月下旬から東京都内や近郊各所、長崎県などで撮影し、5月上旬にはクランクアップする予定。13年に全国で公開。(毎日新聞デジタル)
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