ダーティハリー:イーストウッド吹き替えが故・山田康雄から多田野曜平に 「演技を継承したい」

WOWOWの「ダーティハリー」全5作ノーカット放送のために山田康雄さんが担当したクリント・イーストウッドさんの声を引き継いで地上波でカットされていた部分を収録した多田野曜平さん
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WOWOWの「ダーティハリー」全5作ノーカット放送のために山田康雄さんが担当したクリント・イーストウッドさんの声を引き継いで地上波でカットされていた部分を収録した多田野曜平さん

 米俳優で映画監督のクリント・イーストウッドさん主演の映画「ダーティハリー」シリーズ全5作品のノーカット吹き替え版が12、13日にWOWOWで放送される。今回は、地上波で放送された吹き替え版をベースに、カットされたシーンを追加。イーストウッドさんの吹き替えは故・山田康雄さんが担当していたが、山田さんは95年に死去したため、追加シーンの吹き替えを“声が似ている”といわれる多田野曜平さんが務める。山田さんを「あこがれの先輩」と仰ぐ多田野さんに、収録について話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 「ダーティハリー」は、米サンフランシスコを舞台に、型破りな刑事・ハリー・キャラハンが手段を選ばず殺人事件を解決する姿を描いた刑事アクションで、第1作は71年に公開。キャラハンが大型拳銃を操るアクションシーンや「やれよ。楽しませてくれ」など名ゼリフが人気となり、88年までに5作品が製作された。今回、WOWOWで放送されるノーカット吹き替え版では、地上波では各作品それぞれで3~29分程度、カットされたシーンが追加される。

 山田さんは、アニメ「ルパン三世」の主人公・ルパン三世役で知られている声優で、代表作のルパン三世以外にも、イーストウッドさんやジャン・ポール・ベルモンドさん、ピーター・フォンダさんなど数多くの名優の吹き替えを担当していた。多田野さんは、映画「特攻野郎Aチーム」、米ドラマ「ナース・ジャッキー」などの吹き替えを務めてきた声優で、山田さんがイーストウッドさんがふんする主人公の吹き替えを担当した映画「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン」のDVDボックス用の追加シーンで“代役”を務めた。

 多田野さんは山田さんの“代役”として起用されたいきさつを「ある映画の吹き替えで(山田さん演じる)イーストウッドのまねをしたことがあるんですよ。『気の弱いイーストウッドみたいだね』っていわれたこともあります。うわさが広がっていったんでしょうね」と明かし、「山田さんは僕の(所属する劇団テアトル・エコーの)先輩。大好きな方でした。ただ、僕にとって雲の上の存在で、お見かけすることはあったけど共演したことはないんですよ。(今回も)本当にやっていいの?となった。びっくりしたけど、うれしかったですよ」と先輩との変則的な“共演”を喜ぶ。

 今回、放送される「ダーティハリー」は、追加シーン以外は山田さんの声が使用されているため、追加した場面が全く異なる声では、視聴者は違和感を持ってしまう。そのため、多田野さんはイーストウッドさんの声を演じるというよりは、“山田さんのコピー”に徹したという。多田野さんは、収録に臨む前に「僕は普段は、小動物とかおじさんの役が多いから、イーストウッドとは違いますからね。予習は相当しましたよ。収録の2週間くらい前から、映画をずっと見て、マネをしながらトレーニングしました。全編から山田さんのすごさを感じましたね」と語った。また、「山田さんは、ルパンやピーター・フォンダを演じるときは、イーストウッドのときと比べて若干ソフトにしゃべるんですよ」と話すように、“コピー”する中で発見もあったという。

 多田野さんは綿密な予習をへて、収録を終えた感想を「肩の荷が下りて、いつもの自分に戻りました。収録の前日は眠れなかったので……」と笑顔で話しながら、「劇団の後輩として(山田さんの演技を)継承していきたいですね」とあこがれの先輩への思いを語った。

 ◇「ダーティハリー」全5作品ノーカット吹き替え版一挙放送

 「ダーティハリー」12日午後2時~▽「ダーティハリー2」12日午後3時50分~▽「ダーティハリー3」12日午後6時~▽「ダーティハリー4」13日午後3時10分~▽「ダーティハリー5」13日午後5時15分~

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