井浦新:「平清盛」役作りで聖地巡礼 歴史好きが語る崇徳上皇への思い

「平清盛」で崇徳上皇を演じる井浦新さん=NHK提供
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「平清盛」で崇徳上皇を演じる井浦新さん=NHK提供

 NHK大河ドラマ「平清盛」の20日放送の第20回「前夜の決断」で、井浦新さん演じる崇徳上皇と松田翔太さん演じる後白河天皇が皇位を争う「保元の乱」の勃発前夜が描かれる。“歴史好き”で役作りのために崇徳上皇のゆかりの地の“聖地巡礼”をしたという井浦さんに、役への思いを聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 ドラマは、武士が貴族たちから差別されていた時代、武士の新興勢力・平氏の元で育てられた少年が、瀬戸内海の海賊を束ねて“武士の王”となり、貿易こそがこの国が豊かになる道だと人々に説く……という物語。平清盛(松山ケンイチさん)は白河法皇(伊東四朗さん)の“落胤(らくいん)”で、忠盛(中井貴一さん)が養子にしたという設定で描かれる。

 井浦さん演じる崇徳上皇は、ドラマでは、系図上の父は鳥羽(三上博史さん)だが、実の父は白河で、母は鳥羽に嫁いだ藤原璋子(檀れいさん)という設定。鳥羽に嫌われ、政に参加できず、歌に興じる日々を過ごす。鳥羽の死後は、謀反の疑いをかけられ、藤原頼長(山本耕史さん)とともに「保元の乱」を引き起こすが、権力抗争に敗れ、讃岐国(香川県)で軟禁生活を送ることになる。ドラマで描かれるかは不明だが、やがて朝廷へのうらみから天狗(てんぐ)のような姿になった……という伝説が残されている。

 「個人的に歴史が好き」と話す井浦さんは以前、崇徳上皇が讃岐に流され、怨霊となった伝説を描いた歌川国芳の浮世絵を見て、崇徳上皇に興味を持っていたという。井浦さんは「僕は興味を持つのは、狂気にまつわる物語があったり、無頼の生き方をしたり、人間くさく、薬にでも毒にでもなる人。正義や悪に(どちらかに)振り切っていて、時代に爪痕を残す人に興味を持つんです」と明かす。

 井浦さんは、ドラマの出演が決まった後、京都府と香川県の崇徳上皇ゆかりの地を訪れ、イメージをふくらませたという。そのときの感想を「讃岐の方に話を聞いて、本を読んで知っていた崇徳とは違う人物像を教えてもらいました。身近なちょっとお金を持っている人というイメージで、周りの人に“天皇さん”と呼ばれていたり、農家の人と物々交換をして過ごしていたという言い伝えが残っていたんです。京都では、怨霊として恐れられていて、とらえられ方が真逆だった」と新鮮な驚きを感じたという。その上で「ドラマで保元の乱以降がどのように描かれるかまだ分からないけど、都で権力の中心にいた男が讃岐で荷を下ろして、どういう男になるのかを描ければ」と役作りへの思いを熱く語る。

 井浦さんは、崇徳上皇について深く掘り下げる中で、さらにその人生に興味を持っていったようだが「好きな人物でも美化して演じるのは好きではない」と話す。「ただ、かわいそうな人物になってしまったら奥行きがなくなりますよね。崇徳は、歌に造詣が深いけれど、割り切れないで、権力に対する未練が残っていたのでしょうね。人を許したり、受け入れることができなかったし、生き方が上手ではない。人間くさいんです」と分析しながら、「人としての弱さを見ていただければと思います」と語る。

 また、清盛を演じる松山さんについて「僕がクランクインしたときは天真らんまんな雰囲気で演じていたけど、最近はだんだん力強く、たくましくなり、成長した清盛を演じているのが分かる。松山君との共演シーンは多くはないけれど、どれも重くて、大きい。ものすごい緊張感の中でやらせてもらっています。現場に行くときはいつもワクワクしながら家を出ているんですよ」と役者としてうれしそうに話していた。

 「平清盛」はNHK総合テレビで毎週日曜午後8時に放送。第20回「前夜の決断」は20日放送。(毎日新聞デジタル)

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