サッカー欧州選手権:準々決勝「スペイン対フランス」奥寺康彦が予想 王者が圧倒的有利

スペインのフェルナンド・トーレス選手 写真:AP/アフロ
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スペインのフェルナンド・トーレス選手 写真:AP/アフロ

 欧州サッカー王者を決める「サッカー欧州選手権(UEFA EURO 2012)」の決勝トーナメント準々決勝第3試合のスペイン対フランス戦が23日深夜3時半(日本時間)に行われる。決戦を前に、WOWOWで解説を務める元サッカー日本代表の奥寺康彦さんに見どころを聞いた。

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 スペインは、ディフェンディングチャンピオンでW杯王者、FIFAランク1位の強豪。対するフランスはタイトルから離れて久しい。大会では“番狂わせ”もあるが、奥寺さんは「(番狂わせが)ないとは言い切らないが、極めて少ないと言わざるを得ない」と話す。奥寺さんはスペインのこれまでの戦いを「イタリア戦のゼロトップが話題になっていたようだけど、バルサ(バルセロナ)中心のスタイルでやってきたチームだから特に驚きはなかった」と分析。スペインが“優勝候補”といわれていることについては「反論はしないけれど、4年前のユーロ、2年前のW杯のような圧倒的な支配はおよばなくなっている。というのは、決してスペインのサッカーが衰えたわけではなく、やはり他国が研究し、彼らのサッカーに慣れてきた部分が大きいだろう。『何としても最優先にボールに寄せる』というようなイタリアやクロアチアがやったサッカーを徹底できれば決して難攻不落ではないことが証明されつつあるね」と話す。

 奥寺さんは、これまでのスペインの戦いで気になる点として「フェルナンド・トーレスが乗り切れてない」ことを挙げ、「それでもデル・ボスケ監督が彼を使い続ける理由はメンタル的な部分をケアしてのこと。2戦目(アイルランド戦)で結果(2得点)が出てトーレスもデル・ボスケも安心しただろう。大会が進むにつれてどんどん余裕はなくなっていくからね」と話す。さらに、トーレス選手について「中盤にあれだけのパサーがそろっているんだから、もう少し自分で受ける工夫が必要かもしれない。それができてよりバルサ組にフィットすれば一気に得点を量産する爆発力を秘めている」と語る。

 もう一つの不安な点に「最終ラインがバタバタしている印象が強かった」ことを挙げ、「スペインは狭いエリアで細かくボールを動かしてグループで攻めていくサッカーだから、ボールを失うと中盤を飛ばして一気に早い攻撃を受けてしまう。(イケル・)カシージャスが救ってくれた場面も多く、ほかのゴールキーパーだったらトーナメントの組み合わせが違ったんじゃないかと思うくらいだ。不安がないわけではない」と分析する。

 そんなスペインがフランスと激突することについて奥寺さんは「幸運かもしれない」と語る。奥寺さんはフランスの現状を「グループリーグの最終戦(ウクライナ戦)がすべてを象徴しているけど、フランスはコミュニケーションが決定的に不足している。『ここにボールを送り込めば』『あそこにフリーランニングをしておけば』という場面が片手では足りないほど露見していた」と見ているという。

 スペインのフランスに対する戦略について聞いてみると「彼らを分断することに成功したスウェーデンのやり方がスペインは大いに参考になるはずだ。それは中盤に運動量の多い選手を並べているのでそれは容易なタスクかもしれないが」とコメント。「サッカーは何が起こるか分からないゲームだけれど、このゲームに限ってはこれまでのフランスを見る限り、スペインがやられるのはちょっと想像しにくい。どっちかといえばスペインが複数点を記録して楽にゲームを決める可能性が高いんじゃないかな」と試合の展望を語った。

 「サッカー欧州選手権」は、欧州サッカー連盟(UEFA)が主催し、1960年から4年に1度、欧州各国の代表チームによって争われる大会。16カ国が4組に分かれてグループリーグを戦い、各グループ上位2カ国、合計8カ国が決勝トーナメントに進出する。今大会はポーランドとウクライナの共同開催で、8日に開幕した。WOWOWでは、7月1日の決勝まで全31試合をハイビジョンで生中継している。

 奥寺さんも注目する準々決勝第3試合「スペイン対フランス」は、23日深夜3時半から、WOWOWプライムで生中継。(毎日新聞デジタル)

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