話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、「アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者」(榊一郎著、ゆーげん画)です。講談社ラノベ文庫編集部の渡辺協さんに作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
−−この作品の魅力は?
異色の異世界ファンタジーもの。現代の日本と、ドラゴンが飛び、エルフやウェアウルフがいる典型的な異世界が「穴」でつながってしまうところまでは王道というかありがちな展開なのですが、なぜか主人公は冒険とか戦闘ではなく、その異世界に文化としてのオタクの伝道をしなくちゃいけなくなるという物語です。主人公の慎一は、ハーフエルフのメイドさん、美少女皇帝などに囲まれながら異世界に萌えアニメやゲーム、マンガ、ラノベなどを広めて交易しようとしていると、なぜか人種や社会の問題にぶつかり解決しなくちゃならなくなる、といったコメディーでありながらシリアスでもある、独特で不思議な魅力があるお話です。
−−作品が生まれたきっかけは?
レーベル創刊にあたり、榊一郎さんにぜひともご参加いただきたくて依頼しました。打ち合わせすると榊さんはたくさんのプロットを話してくれて、これがまたみんな面白くて、さてどうしようと考え、個人的な好みだけで「まかでみックス」的な感じなのがいいな、とお願いし、いったんはちょっと異色の学園モノを進行していたのですが、題材の問題で延期せざるをえなくなり、どうしようという打ち合わせで、また担当の私が、直前に読んだ「ザ・ジャグル」が面白すぎて、SFでシリアスもいいですね、と無責任な感想を伝えたところ、さすがは榊さん、コメディーでSFでちょっとシリアスな要素もあるという全部兼ね備えた作品を作ってくれました。もう、見事としか言えません。
−−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか?
榊さんは、これは有能な作家・マンガ家一般にも言えるのですが、とにかく知識が広いのに驚きます。ゆーげんさんは、実に真摯(しんし)で創作への思いが熱い人。ゆーげんさんはウェブで絵を見たら、とにかくファンタジーもメカも魅力的な絵を描いてるなと思いお願いしました。お会いしたら榊さんの大ファンでした。「アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者」の初稿を読んでいただいたら、依頼OKのメールにもう主要キャラ「ペトラルカ」のカラーのキャラ・ラフが添付されていて、これがまた榊さん的にもイメージバッチリの素晴らしいものでした。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
プロットを読んだだけで面白くて、とにかく早く原稿で読みたくなってしまう。しかも、いろいろな作中の要素が自然に展開しているようにみえて、奥までちゃんと設定が考え抜かれているのがスゴイ。だからうかつな提案とかはできないですね。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
3巻では「魔球サッカー」、4巻では「コスプレ」等、さまざまなオタク要素をちりばめて展開してきましたが、まだまだオタク的な本命ともいえるアレやコレが待っていますので、物語のガジェットはますます派手に、そして同時に隣国との軋轢(あつれき)、日本政府の妨害等、シリアス面でも深くなっていくという超展開が待ってます。どうかご期待ください。
講談社ラノベ文庫編集部 渡辺協
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