朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第97回 グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」

「ヘンゼルとグレーテル(世界名作おはなし絵本)」著・寺村輝夫(小学館)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「ヘンゼルとグレーテル(世界名作おはなし絵本)」著・寺村輝夫(小学館)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに100万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第97回はグリム童話「ヘンゼルとグレーテル」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 「年末年始のテレビ番組の定番」といえば、いろいろ思い浮かぶものがあると思いますが、「忠臣蔵」もその一つではないでしょうか?

 史実では「元禄赤穂事件(げんろくあこうじけん)」と呼ばれ、今から300年以上前、五代将軍徳川綱吉さんの時代に実際に起こったあだ討ち事件です。

 元禄14年春、赤穂藩の藩主浅野内匠頭(あさの・たくみのかみ)さんが、吉良上野介(きら・こうずけのすけ)さんに対して江戸城内で刃傷沙汰(にんじょうざた)に及び、吉良さんを負傷させてしまいます。

 殿中で刀を抜くことは重罪で、浅野さんは切腹を申し渡されたうえ、赤穂藩はお取りつぶしとなってしまいました。

 浅野さんの無念に立ち上がったのは、残された元赤穂藩の浪人たち。

 後に「赤穂浪士」と呼ばれる彼ら四十七士は1年以上かけて準備を進め、ついに元禄15年暮れ、吉良さんのお屋敷に討ち入りを果たすのでした……。

 そんなわけで、12月14日は「忠臣蔵」の討ち入りがあった日です。

 この日を現在のグレゴリオ暦に換算すると1703年1月30日ですから、真冬の一番寒い時期だったことになりますね。

 歌舞伎・人形浄瑠璃から始まった忠臣蔵は、小説の世界でもさまざまな作品が発表されています。

 代表的なのは、大佛次郎(おさら・ぎじろう)さんの「赤穂浪士」ですが、他にも吉良さん側の視点から描いた森村誠一さんの「吉良忠臣蔵」や、討ち入りに参加しなかった赤穂藩の浪士たちをクローズアップした井上ひさしさんの「不忠臣蔵」、そしてあだ討ちの後を描いた芥川龍之介さんの「或日の大石内蔵助」などなど。

 「視点の違い」や「史実で明らかになっていない点に仮説を立てる」など、それぞれに独自のアプローチを楽しめます。

 年末年始に読む本に迷っている方は、候補に入れてみてはいかがでしょうか?

 ではここで、朗読倶楽部のお話……朗読倶楽部部長・丙絵ゆいさんのお話・その5です。

 紆余(うよ)曲折あってようやく実現した部長さんのお家への家庭訪問。

 お出迎えしてくださったのは部長さんのお母様。

 対する部長さんの態度は、なぜか普段と違っておしとやかなもので、あっけにとられる先生、みかえさん、私の3人。

 部長さんの「余計なことを言うな」オーラを背中に受けながら、あいさつもそこそこに部長さんのお部屋へお邪魔したのですが……うかつに口を滑らしてしまっては大変と、お部屋に入ってからも押し黙ったままになってしまいました。

 自然、間が持たなくなって、ついついあたりを見回してしまいます。

 ライトノベル好きをきっかけに声優を目指しているという部長さんですから、たくさんのライトノベルが入った本棚が並んでいたり、アニメのポスターが張ってってあったり……という光景を予想していたのですが……。実際は飾り気のない、質素な印象のお部屋だったのです。

 ……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」

 こんにちは、今回ご紹介するお話はドイツのグリム兄弟によって編さんされた「グリム童話」の一つ、作品番号KHM 15「ヘンゼルとグレーテル」です。

 ドイツ・ヘッセン州に伝わる童話を再話したこの作品は、1812年に発表された「子供と家庭の童話」第1巻に収録されました。

 今日グリム童話と呼ばれているのは、この第1巻と1815年に発表された第2巻とを合わせた200を超える作品群の総称なんですよ。

 むかしむかし、大きな森のそばに、貧しい木こりが妻と2人の子供の4人で暮らしていました。

 しかしある年、国が大きな飢饉(ききん)に見まわれ、ただでさえ苦しい生活を送っていた木こり一家は、いよいよパンのひとかけらを食べることもままならなくなってしまいます。

 このままでは一家そろって飢え死にすると考えた妻は、子供たちを森の中に置き去りにすることを木こりに提案し、兄のヘンゼルと妹のグレーテルは、森の奥で置き去りにされてしまいました。

 帰る家を探して、森をさまようかわいそうな2人。

 3日目の朝、いよいよもう倒れそうという時になって、兄妹は可愛らしい家を見つけました。なんとそのお家は、パンやお菓子でできていたのです……。

 グリム童話が発表された1812年のクリスマスから、今年でちょうど200年。

 これを記念して今年は各地でイベントや、いくつかの作品の映像化が行われましたが、この「ヘンゼルとグレーテル」も、来年の2013年に映画が公開されるそうです。

 内容はグリム童話版の「続き」を描いたもので、なんと2人が「魔女ハンター」になって活躍するんだとか!?

 グリム童話が改訂を重ねるごとに内容を変更していったのは有名ですが、まさかグリム兄弟もここまで姿を変えた続編が作られるとは思ってもみなかったことでしょう。

 映画を見に行かれる方は、ぜひ一度その原点となる本作を手に取って「予習・復習」してみてはいかがでしょうか?

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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